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おすすめ妖怪漫画9選【日常ものからバトルものまで】

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古くは水木しげる先生の『墓場鬼太郎』や手塚治虫先生の『どろろ』、最近では『妖怪ウォッチ』など、妖怪の出てくる漫画やアニメは、誰でも一度は目にしたことがありますよね。怖さや気味悪さがある一方で、どこか愛嬌があったり、昔なつかしい感じがしたり、人の心の闇が垣間見えたりするのが、妖怪漫画の魅力ではないでしょうか。

今回は、日常系から妖怪大戦争ものまで、はたまたギャグからシリアスまで、個性豊かな妖怪漫画を9作品ご紹介します。

ほのぼのした日常の中で妖怪の怖さ・哀しさを感じる秀作『もっけ』

もっけ 1巻

完結『もっけ』 全9巻 熊倉隆敏 / 講談社

タイトルの「もっけ」とは、「勿怪」、つまり「もののけ」のこと。妖怪の古来の呼び名を踏まえているだけあって、人の暮らしの物陰に潜む、昔話のような妖怪たちが登場します。

姉の静流(しずる)は妖怪を見る目を持ち(見鬼)、妹の瑞生(みずき)はとり憑かれやすい体質(憑巫)のため、姉妹は凶悪な妖怪がはびこる都会を避け、田舎の祖父のもとで暮らしています。農村での生活は穏やかですが、それでも妖怪はすぐそばにいて、時に瑞生にとり憑き、静流を悩ませることも。

本作の特徴は、妖怪が日常の片隅に当然のように存在するところ。姉妹の祖父は拝み屋ですが、妖怪をむやみに追い払おうとはせず、彼らの存在を当たり前のものとして受け入れています。そんなひと昔前の日本を思わせる暮らしが、穏やかにしっとりと描かれているのが魅力です。時におそろしく、時にユーモラスな妖怪像は、民俗学の大家・柳田國男の著作を参考にしているところもあり、妖怪通にはたまらないはず。姉妹は能力を持ちながらも祓う力はないため、周りの人を妖怪からパッと救ってあげることはできないのですが、人ともっけとの関わりの中で、彼らを排除する難しさや人間との距離感、そこに表れる人の心の闇が、丁寧に描かれています。

テレビアニメ化もされ、作家であり妖怪評論家の荒俣宏先生にも絶賛されている本作。作者の熊倉隆敏先生は、道士やキョンシーが登場する『ネクログ』で中国の怪異も描いています。

『もっけ』を試し読みする

美しく哀しい妖怪漫画!ミステリー調の展開も魅力『百鬼夜行抄』

百鬼夜行抄 1巻

『百鬼夜行抄』 1~24巻 今市子 / 朝日新聞出版

障子の向こうにたたずむ存在しないはずのモノの影、古木に棲み人を殺す精霊――そんな妖魔が詩的な雰囲気で描かれています。謎めいたストーリー展開で、登場人物の抱える心の傷や、昔起きた事件の真相などが、各話の最後で明らかになる構成も見事。陰惨な事件や結末が暗い話もあるのですが、どろどろとは描かれていないので、切なさを感じさせつつも、どこかすがすがしい読後感が残ります。

特徴は主人公である男子高校生・律(りつ)が、妖魔を圧倒できるつわものではなく、手さぐりで妖魔との付き合い方・抑え方を学んでいる点。霊感の強かった祖父が律のために遺してくれた竜神・青嵐(あおあらし)に守られてはいますが、絡んでくる妖魔たちに振り回されたり、周囲の人を救えなかったりして傷つくこともしばしばです。やがて青嵐の正体や、祖父の代からの因縁を知り……。律の成長する姿がみずみずしく、青春漫画としても味わい深い作品です。

本作は、平成18年度(第10回)文化庁メディア芸術祭の漫画部門優秀賞を受賞しています。作者の今市子先生は、『僕のやさしいお兄さん』『萌えの死角』など、BL作家としても人気のベテラン漫画家です。

『百鬼夜行抄』を試し読みする

おどろおどろしくもアホらしい、妖怪ホラーギャグ!『でろでろ』

でろでろ 1巻

完結『でろでろ』 全16巻 押切蓮介 / 講談社

霊感の強い不良中学生・耳雄(みみお)は、仲間たちとつるんで、深夜に廃墟と化した病院へ乗り込みます。ところが霊安室に閉じ込められ、悪霊の不気味な笑い声が響きわたり、絶体絶命に! という、いかにも恐怖漫画な展開から、急転直下、斜め上を行くオチで締めくくられて第1話が終わります。

実は本作、全編このノリ! 妖怪を怖がらず、拳でぶっ飛ばしてしまう耳雄には謎の説得力があり、読者も強引に押し切られてしまいます。押切蓮介先生は、『焔の眼』『ミスミソウ』『ゆうやみ特攻隊』など、ホラーからコメディまで幅広く手がける漫画家ですが、本作はギャグ要素をたっぷり堪能できる作品です。昭和の妖怪漫画を思わせる不気味な絵のタッチのおかげで、ホラー漫画のゾクゾク感もしっかり楽しめます。

出てくる妖怪はすべて押切先生のオリジナル! よく知られる都市伝説やホラーネタに、シュールなひとひねりを加えて造形されています。「ホラー法則の精」「チンゲ小僧」「丑三つテレホンショッピング」などなど、妖怪の名前だけでクスッとしてしまった方はきっとハマるはず! 正統派の妖怪ものとは異なりますが、「もしかしたら本当にいるかも?」と思わされてしまう、不思議な魅力がありますよ。

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大正ロマンあふれる妖怪ラブコメ!『おとめ妖怪ざくろ』

おとめ妖怪ざくろ (1)

『おとめ妖怪ざくろ』 1~10巻 星野リリィ / 幻冬舎コミックス

舞台は文明開化の頃の日本。妖怪と人間、そのハーフの半妖らが共存する社会です。陸軍と妖怪が手を組み、妖怪絡みの事件を解決するために「妖人省」を立ち上げました。ヒロインの半妖・ざくろは帝国陸軍少尉・総角景とパートナーを組み、罪を犯す妖怪を取り締まります。が、相方の景は、凛々しく上品な外見に似あわず、妖人が大の苦手というヘタレで……!?

洋装っぽい着物姿のおとめ妖怪たちはかわいく、コンビを組む帝国軍人たちはイケメンという、絵的にもゴージャスな少女漫画です。最初は反発しあっていたざくろと景が、パートナーを組むうちに互いを大切に思うようになるところは、まさに胸キュンもの! 同時に、妖怪の倫理と人間の道徳との間で摩擦が起きたり、妖怪や半妖が差別に遭っていたりなど、やや重たい社会的な側面も描かれているのが、ストーリーに奥行きをあたえています。

テレビアニメ化もされた本作、作者は『輪るピングドラム』のキャラクター原案をはじめ、ファンタジーや恋愛もの、BLなど幅広く活躍中の星野リリィ先生です。

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古典的な妖怪たちが繰り広げる王道バトル!エンタメ任侠活劇『ぬらりひょんの孫』

ぬらりひょんの孫 モノクロ版 1

完結『ぬらりひょんの孫 モノクロ版』 全25巻 椎橋寛 / 集英社

『週刊少年ジャンプ』で長期連載された本作は、「ぬら孫」の愛称で親しまれ、アニメやゲームにもなった人気作品です。主人公の奴良リクオは、ぱっと見はごく普通の男の子ですが、リクオの家は妖怪の総本山であり、祖父は頭領にして伝説の大妖怪・ぬらりひょんなのです!

本作の見どころは、鳥山石燕『画図百鬼夜行』などの妖怪画集を参考に描かれた古典的な妖怪たちが、モダンにカッコよく戦う様子。彼らは極道という設定なので、義兄弟の盃を交わしたり、仁義なき戦いを繰り広げたりする任侠活劇にシビれます。また、雪女、烏天狗、陰陽師など、お決まりの妖怪や術士などのキャラが、かわいくカッコよく描かれています。強敵の羽衣狐も、見た目はあでやかな黒髪美少女で非常に魅力的!

そして何より、人間と妖怪のクォーターで、人間のときはかわいいのに、妖怪に変容すると途端にイケメンになり、妖怪の世界と人間界との間で苦悩しながらも、妖怪たちを引っ張っていく「頭」に成長していくリクオは、さすが総大将にして主人公という存在感です。

強大な敵に立ち向かうべく、かつての敵とも友情を育み共闘するなど、王道の少年漫画的展開も胸が熱くなります。電子版のみで配信中のスピンオフ『ぬらりひょんの孫 外伝~花開院夜話~眼球蒐集鬼』もあわせてどうぞ。

『ぬらりひょんの孫 モノクロ版』を試し読みする

妖怪に必要なのは、退治ではなく治療!?『妖怪のお医者さん』

妖怪のお医者さん 1巻

完結『妖怪のお医者さん』 全15巻 佐藤友生 / 講談社

悪い妖怪をカッコいい主人公が退治する漫画はたくさんありますが、本作では悪いのは妖怪でなく、人間。自然破壊といった現代社会の問題や、人間の心のダークサイドが発する負のエネルギーなどが、妖怪を危険な存在に変えているという設定です。主人公の護国寺黒郎(ごこくじ くろ)は、地味だけどちょっとかわいいメガネ男子。その黒郎によって妖怪が治療され、同時にその病原だった人のトラウマが癒えるという、読後感がさわやかな少年漫画です。

黒郎の出生や育ちに関しても、妖怪と人間のいさかいが影を落としていたり、それを乗り越えてヒロインの琴子と絆を深めていったりと、人間ドラマとしても感動的。人間と妖怪が戦う場合、どちらの味方になるべきなのか、という重い問いを投げかけてくる一方で、黒郎が思春期の少年らしく(?)エッチだったりと、シリアスとギャグのバランスがほど良い作品です。

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魔夜峰央先生の妖怪愛を詰め込んだ『妖怪缶詰』

妖怪缶詰 1巻

完結『妖怪缶詰』 全2巻 魔夜峰央 / 白泉社

30年以上連載が続く国民的ギャグ漫画『パタリロ!』。その作者である魔夜峰央先生が、大の妖怪好きなのは、ご存知の方も多いかと思います。この『妖怪缶詰』は、そんな魔夜先生による妖怪漫画の新旧短編をぎゅっと2冊に詰め込んだ作品集です。

時代劇から現代まで、和物から外国が舞台のものまで、さまざまな怪奇作品が詰まっているところなど、まさに魔夜先生の本領発揮。人情ものやギャグ系など内容も多彩ですが、一つ一つの作品のクオリティが高く、短編なのにラストの数コマでオチを付けて見事に締めくくる手腕はさすがのひとことです。

独特のメリハリが効いた白黒の絵柄や耽美的な作風、濃密な怖さも健在! 先生自身が語る「妖怪とは何か」というエッセイも入っていますので、ファンの方はぜひ読んでくださいね。

『妖怪缶詰』を試し読みする

妖怪と人間との絆に心が熱くなる!『うしおととら』

うしおととら(1)

完結『うしおととら』 全34巻 藤田和日郎 / 小学館

2015年夏にアニメ化され、再注目されている本作。主人公の蒼月潮(あおつき うしお)は、住職の父親と二人暮らしの中学生。ある日、潮は友人を助けるために、「獣の槍」によって封印されていた最強の妖怪・とらを解放してしまいます。

本作の魅力は、なんといってもその熱さ! 潮だけは自分が食う(だから、他の奴は手を出すな)と、ツンデレな態度を崩さないとらと、そんなとらを信頼し、自分の正しいと思う道をまっすぐに突き進む潮との、種族を超えた友情には、きっと心が熱くなるはず。

また、妖怪にもいい奴と悪い奴がおり、人間の敵になったり味方になったりするところもこの漫画のおもしろさ。白面の者やふすまなど、トラウマレベルの恐ろしい妖怪から、鎌鼬の兄妹やイズナなどの魅力的な妖怪まで、さまざまな妖怪が登場するので、妖怪好きの方には一度は読んでほしい漫画です。

漫画家・田中圭一×藤田和日郎先生のインタビューでは、『うしおととら』や『からくりサーカス』の見どころがたっぷり語られているので、そちらもぜひチェックしてみてくださいね!

『うしおととら』を試し読みする

こんな先生に教わりたかった!『地獄先生ぬ~べ~』

地獄先生ぬ~べ~ 1

完結『地獄先生ぬ~べ~』 全20巻 岡野剛・真倉翔 / 集英社

地獄の鬼を封じた「鬼の手」を持つ小学校教師・鵺野鳴介こと、ぬ~べ~が、霊や妖怪から生徒たちを守るために奮闘するアクションギャグ漫画……というのが基本的なストーリーですが、本作の魅力はそれだけではありません。本格ホラーや(赤いチェンチャンコやメリーさんの回は、眠れなくなった人もいるのでは)、恋愛もの、胸を打つヒューマンドラマ、そして、思わずドキッとしてしまうエッチなシーンなど、さまざまな要素が詰まっているんです。また、普段はおっちょこちょいで三枚目なぬ~べ~ですが、身を挺して生徒たちを守ろうとする姿はカッコよく、こんな先生がいたらなあと思わされます。

「人食いモナリザ」の回は、諌山創先生が『進撃の巨人』を描く際に影響を受けたエピソードとしても有名。第3巻に収録されているので、ぜひチェックしてみてください!

続編の『地獄先生ぬ~べ~NEO』、女子高生イタコ・いずなが主人公のスピンオフ『霊媒師いずな』もあわせてどうぞ。

『地獄先生ぬ~べ~』を試し読みする

最後に

日本の風土の中で、長い年月をかけて育まれてきた独自の信仰や自然観をベースに生まれた妖怪たちは、西洋のモンスターとはまた違った魅力があります。

日本の漫画作品の一ジャンルとも言える妖怪もので、身近にいるかもしれない妖怪の世界を覗いてみてくださいね。

▼水木しげる先生の元祖妖怪漫画『墓場鬼太郎』のレビューはこちら!
水木しげるさん追悼・貸本まんが復刻版『墓場鬼太郎』感想解説|鷹野凌の漫画レビュー

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