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“可愛い”は世界を救う?『うちの娘の為ならば、俺はもしかしたら魔王も倒せるかもしれない。』感想解説|鷹野凌の漫画レビュー

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こんにちは、フリーライターの鷹野凌です。今回は、KADOKAWA「ComicWalker」で連載中の漫画『うちの娘の為ならば、俺はもしかしたら魔王も倒せるかもしれない。』をレビューします。原作小説は「小説家になろう」での連載から、ホビージャパン「HJノベルス」で商業出版され、7巻まで刊行中。著者はCHIROLUさん、イラストは1巻がトリュフさん、2巻以降が景さんです。コミカライズは、ほた。さん(句点が付きます)で、単行本は3巻まで刊行中。凄腕冒険者が魔人族の少女と出会って親馬鹿になった、という作品です。

うちの娘の為ならば、俺はもしかしたら魔王も倒せるかもしれない。 1

『うちの娘の為ならば、俺はもしかしたら魔王も倒せるかもしれない。』 1~3巻 ほた。・CHIROLU・景・トリュフ / KADOKAWA / メディアファクトリー

凄腕冒険者がちいさな娘を拾って親馬鹿になる

本作の主人公は、凄腕冒険者のデイル(18)。魔獣を討伐するために行った森で、魔人族の少女ラティナと出会います。外見は5~6歳で、汚れたボロボロの姿。魔人族の特徴である羊のような角が片方折られており、ちいさな子供なのに罪人として追放されたであろうことにデイルは気づきます。魔獣がいる森でたった1人。近くには父親らしき遺体。なにやらいわくありげです。

「…まあこれも縁か」と、なかば気まぐれでラティナを連れ帰り保護者となったデイルですが、ラティナのあまりの可愛さに、あっというまに親馬鹿っぷりを炸裂させるようになります。「抜き身の剣のよう」と言われていた男が、「ラティナが可愛すぎて、仕事に行きたくない」などと言い出す始末。とりあえず最初は「ラティナ可愛い」と、周囲がニコニコ、あたふたする様子を楽しみましょう。「可愛い」は、世界を平和にするのです。

徐々に明らかになるラティナの過去と世界の話

タイトルにある「魔王」や、「冒険者」「魔獣」「魔人族」といったキーワードからわかると思いますが、本作は中世ヨーロッパ風のファンタジー世界。デイルたち人間族とラティナたち魔人族は、敵対しているわけではないものの、ほとんど交流はありません。角がある以外、外見は同じ。角を隠すため、ラティナはいつも大きなリボンを付けるようになります。言葉も違いますが、「呪文言語」によって簡単な意思疎通は可能でした。賢いラティナは、ほどなく人間族の言葉を習得します。

基本は「ラティナ可愛い」と親馬鹿コメディなのですが、その合間で徐々にラティナの過去も明らかになっていきます。また、獣人族、妖精族など他の種族の存在や、「天」「冥」「地」などの魔法属性、あるいは、戦と調停と裁きの神である「赤の神(アフマル)」や、旅人が集まる「緑の神(アクダル)」など、虹の七色に合わせた七柱の神とその神殿が存在することなども明らかになっていきます。

そう、これはただ単に「ラティナ可愛い」だけの物語ではありません。実はかなり奥の深い、重厚な世界設定がある作品なのです。なぜラティナは角を折られ追放されたのか、なぜ魔獣がいる森に1人きりで無事だったのか、口に出しかけた名前は誰なのか、などなど。さまざまな伏線がありますが、小説版ではちゃんと回収されているのでご安心を。「可愛い」が世界を救うのかも?

うちの娘の為ならば、俺はもしかしたら魔王も倒せるかもしれない。 1

『うちの娘の為ならば、俺はもしかしたら魔王も倒せるかもしれない。』を試し読みする

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