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熱い展開にシュールな設定『とんかつDJアゲ太郎』感想解説|鷹野凌の漫画レビュー

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こんにちは、フリーライターの鷹野凌です。

今回は、集英社『少年ジャンプ+』で連載中のコミック『とんかつDJアゲ太郎』をレビューします。原案はイーピャオさん、漫画は小山ゆうじろうさんです。本稿執筆時点で5巻まで刊行されており、この4月からTOKYO MX系でテレビアニメが放映されます。

とんかつDJアゲ太郎 1

『とんかつDJアゲ太郎』 1~6巻 イーピャオ・小山ゆうじろう / 集英社

『少年ジャンプ+』とは?

『少年ジャンプ+』は、ジャンプの漫画を無料で読めるウェブマガジンです。オリジナル連載作品や、人気コミックのスピンオフ、過去の人気作品の再収録、誰でも投稿できる「ジャンプルーキー」コーナーの作品などが楽しめるほか、『週刊少年ジャンプ』やジャンプコミックスの電子版が購入できる販売ストアとしての機能もあります。iPhoneやAndroidなどのスマートフォン用アプリは、本稿執筆時点で450万ダウンロードを突破しています。

『とんかつDJアゲ太郎』は、この『少年ジャンプ+』創刊時からの連載作品の1つです。単行本が発売済みの回は原則として公開終了になっていますが、本稿執筆時点で1巻冒頭の1~3話と2巻冒頭の12~13話は、まだ『少年ジャンプ+』で無料閲覧できます。一般的な電子書店の「立ち読み」機能より長めです。

『少年ジャンプ+』でも「ジャンプシステム」は生きている?

ところで、『週刊少年ジャンプ』は、友情・努力・勝利の3大原則や、アンケート重視などの「ジャンプシステム」が有名です。アンケートハガキは「おもしろかったもの3つに○印」を付ける形になっており、連載を続行するかどうかの判断にはこのアンケートの結果が重視されているそうです。

いっぽう、アプリ版『少年ジャンプ+』には、1話読み終わると「おもしろかったらいいジャン!してね」とボタンが出る機能が付いています。「いいジャン!」の数が多いほど、[連載陣]タブのランキング上位に表示されるシステムです。おそらくこの「いいジャン!」機能が、アンケートハガキの代わりになっているのでしょう。

『とんかつDJアゲ太郎』はギャグ漫画です。他のジャンプ作家陣で言えば、漫☆画太郎さん、つの丸さん、うすた京介さんなどの系譜に連なるでしょう。いわゆる「ヘタウマ」系なので、絵柄の好みはわかれると思います。ただ、友情・努力・勝利の3大原則は『とんかつDJアゲ太郎』でも守られており、がんばって成長していく主人公が描かれた作品です。

とんかつとDJは同じグルーヴ!

主人公の勝又揚太郎は、渋谷のとんかつ専門店「しぶかつ」3代目となる若者です。いい加減な性格であまりやる気がなく、2代目当主の父親にいつも叱られています。ある夜、注文されたとんかつ弁当をクラブのスタッフに届けた揚太郎は、そのままクラブDJを初体験。すっかりのめり込んで数週間クラブに通い続けた揚太郎は、伝説的DJ“マンハッタンの大魔神”ビッグマスターフライと、運命的な出会いをします。

とんかつを揚げる父親の動きや、キャベツの千切りのリズム、フライヤーで揚げる音を聞く様子、とんかつを載せる皿など、とんかつとDJの共通点に気づき始めた揚太郎。そこへビッグマスターフライがテレパシーで呼びかけます。とんかつとDJは同じグルーヴだと。

ビッグマスターフライから「オマエならイカしたとんかつ屋兼DJになれるだろう! 自分を信じてスキルを磨け!!」と言われた揚太郎。この言葉に一念発起し、父親に「とんかつもフロアもアゲられる男になりてえんだ!!!」と修行に励む決意を告げます。とんかつDJアゲ太郎の誕生です。展開は熱いのですが、設定がシュール過ぎて思わず笑ってしまいます。

クラブDJのことを知らなくても楽しめる

私は、クラブDJのことはよく知りません。1度だけ友人に連れていってもらったのですが、自分があまりに場違いな感じがして、2度と足を運んでいません。その体験もあって、『とんかつDJアゲ太郎』のことは食わず嫌いになっていました。ところが1度読んでみたら、クラブDJのことをよく知らなくても楽しめる作品だということがわかりました。

そもそも主人公がクラブDJのことをよく知らない設定なので、周囲の人が懇切丁寧に教えてくれるのです。レコードを「ディグる」とか「レア・グルーヴ」とか、「ロングMIX」と「クイックMIX」の違いなど、専門用語が出てきてもわりとスッと頭に入るようになっています。

しかし、知っているともっと楽しめる、のかもしれません。例えば、第1巻の89ページに出てくる友人たちの驚いた顔は、イギリスのプログレッシブ・ロックバンドとして有名なキング・クリムゾンのファーストアルバム「クリムゾン・キングの宮殿」のジャケットパロディだと思われます。詳しくない私も気付いたくらいなので、もっと他にもいろいろありそうです。

表紙をめくると旨そうなとんかつの「写真」

ところで、一般的に雑誌連載漫画が単行本に収録されるときには、おまけ要素が追加されることが多いですよね。『とんかつDJアゲ太郎』にも、強烈なおまけ要素があります。表紙をめくるといきなり見開きで、旨そうなとんかつの写真がドーン。私が初めて読んだのは、ちょうどお昼前というタイミング。意表を突かれて思わず吹き出してしまいました。

次の見開きでは、そのとんかつを撮影したお店の外観や店内の写真と、店名・住所・電話番号・定休日や営業時間まで載っています。1巻は「すぎ田」、2巻は「かつ村」、3巻は「井泉」、4巻は「鈴新」、5巻は「矢場とん」と、どれも旨そうなお店ばかりです。雑誌のとんかつ専門店紹介記事かと思いました。

おまけ要素は他にも、クラブカルチャー入門「おしえて!ヤミー先生」コーナーのDJ用語解説や、「溝さんのDIGってナンボ!」コーナーのレコード紹介、作品内で登場した雑誌記事「藤井頼太のウッ!このカルチャーを見逃すな!」などがあります。

なお電子版には、紙版の背表紙・カバー折り返しや、本体の表紙・裏表紙も、ちゃんと収録されています。電子版でも紙版と変わらぬコンテンツが提供されるのは、読者の満足度向上には重要なポイントですね。

とんかつDJアゲ太郎 1

『とんかつDJアゲ太郎』を試し読みする

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