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おすすめサバイバル漫画9選!生き抜く力を漫画に学べ!

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災害列島と呼ばれる日本。もしも天災に遭ったらどうやって身を守ればいいか、誰もが一度は考えることでしょう。

サバイバル漫画には、ライフラインを絶たれた街がどのような状態になるか、そんな時に周りにある物をどう利用すればいいかなど、非常時に役立つヒントが詰まっています。また、エンタメ要素としての危機を脱するスリリングな展開や、極限状況で理性を失った人間の恐ろしさ、逆に人間性の気高さや尊さなど、漫画の醍醐味も味わえます。

今回は、人為的に仕組まれたデスゲームや、ゾンビや未知の生物などに襲われるパニックホラー的なサバイバルものではなく、知恵や工夫をもって生き抜くという本来の「サバイバル」にフォーカスした漫画を9作品ご紹介します。サバイバルのハウツーものとして読むのも良し、非日常気分に浸るのも良し、な秀作の数々をお楽しみください。

種の保存のため、未来を託された若者たちのサバイバルドラマ『7SEEDS』

7SEEDS

『7SEEDS』 1~34巻 田村由美 / 小学館

『BASARA』で壮大な戦記ファンタジーを紡いだ田村由美先生が描く、近未来サバイバルストーリー。少女漫画に分類されますが、男性にもぜひ読んでほしい骨太な作品です。

隕石の衝突により人類が滅亡することを予測した政府は、極秘裏に救済計画「7SEEDS(セブンシーズ)」を実行。7人の若者+1人のガイドから成るチームを、5つの「春・夏A・夏B・秋・冬」に編成し、「人類の種(seed)」として冷凍保存しました。時が経ち人類が死滅した後の世界で、彼らは解凍され目覚めます。そこで目にしたのは、巨大な昆虫や食肉植物などがはびこる、異様な生態系の世界でした。

章ごとに主人公が代わり、各チームに焦点を当てながら物語が進行します。選ばれた若者たちの中でも、計画を知らずに強制参加させられた者、課せられた使命をもって参加した者などさまざま。また、選ばれなかった……つまり、「生き残れなかった側」の人間たちのエピソードも描かれていることで、物語が幾重にも積み重なり、読み応えを増しています。それぞれの性格や来歴、遭遇する苦難が描かれ、時には辛く残酷で悲壮な展開も。ですが、すべての物語を貫くのは、極限状態で生き抜く人間のたくましさと絆です。異なるバックグラウンドを持つ若者たちが、協力したり対立したりしながら、過酷な環境下で生き抜く術を身につけていきます。離れ離れになっている恋人同士が、再会できそうでできないというもどかしい切なさは田村先生ならではの焦らしもあって、先が気になってしょうがなくなります。

心にしみる名台詞が多いのもポイント。第4巻の「冬の章」では、高校野球の名投手で、その高い身体能力ゆえに未来行きのメンバーに選ばれた新巻に対し、同じチームの鮫島がかける言葉

「いつでも おまえが戦う場所が そこが 甲子園だ」

は、もはや野球ができる世界ではないだけに胸に迫ります。この後、2人を襲う悲運には涙が止まりません。

サバイバルをテーマとした群像劇なので、「同じ境遇に置かれたら、自分は誰に近いだろうか、どんな行動を取れるだろうか」と、共感できるキャラが見つかるかもしれません。

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孤島に幽閉された自殺願望者たち―なぜ生きるのか『自殺島』

自殺島

完結『自殺島』 全17巻 森恒二 / 白泉社

主人公・セイは何の意欲も持てず、自殺未遂を繰り返す少年。ある日、他の自殺未遂の常習者と共に、どことも知れぬ島に置き去りにされます。そこはネット上で「自殺島」と噂される、政府が関与しない無法状態の島でした。

離島に閉じ込められるという設定はサバイバル漫画の王道ですが、本作の特徴は、幽閉された人が「自殺未遂の常習者」であること。当然、サバイバルの意欲を全く持たず、死を選ぶ者も出てきます。しかし、他者の自殺とその苦しみを見てためらった人たちは、

「死ねなければ…死ねないなら――生きるしか…ないんだ」

とサバイバル生活へと追い込まれるのでした。

漁や狩猟の方法や果物の採集、収穫物の保存法など、島で生きぬくための実用的なサバイバル術が豊富に出てきます。効率的に食べ物を手に入れるためにお互い協力し合い、平和的に村を運営するためにリーダーを決め、守るべき共通のルールを決める。社会になじめず自殺を図ったセイたちは、島で社会を構成せねば生きていけないことに気付くのです。さらに、対人関係のいさかいや、グループの分裂・抗争など、共生社会をつくることがいかに難しいかを感じることができます。

また、彼らが島で生き延びるために向き合う「命」についても考えさせられます。動物や人間の命と向き合うたびに、「なぜ生きるのか」という問いが浮き彫りになります。自分が置かれている社会状況や日常生活にありがたみを感じたり、普段は意識していない危機感やサバイバル本能に気付いたり、命を受け継ぎながら生かされていることなど、考えさせられることの多い作品です。

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サバイバル×タイムスリップ!一緒に遭難した女の子たちとの三角関係も描かれる『レッツ☆ラグーン』

レッツ☆ラグーン

『レッツ☆ラグーン』 1〜4巻 岡崎武士 / 講談社

修学旅行中、客船から放り出されて無人島に漂着した高校生の山田壮太。同じ島に、同学年の衣舞瀬チカも流されていて、2人は協力してサバイブを始めます。女の子と2人きりの無人島暮らしであり、島には豊富に真水や食料の元になる魚や植物があるということで、サバイバル物としてはライトな展開からスタートする本作。ですが、ストーリーが進むと、この作品の本質が他にあることが分かってきます。

それは、実は壮太とチカは、遭難だけでなくタイムスリップによって、この島にたどり着いていたということ。『レッツ☆ラグーン』は、サバイバル×タイムスリップというSF設定が魅力の作品なのです。タイムスリップを引き起こしているのは、突然現れる不思議な霧。それに触れると、別の空間、別の時間に一気に飛ばされてしまうのでした。

霧の作用によって、一度は家族の元に戻ることができた壮太。しかし、島に残されたチカを助けるために、彼はもう一度、霧の中に飛び込んでいきます。そして、その時のタイムスリップで、チカの姉のミキや、壮太に片想いしている神山ノリという2人の女子も、不思議な無人島にたどり着くことに。物語に、壮太×チカ×ノリの三角関係という要素も加えられていきます。

ですが、あくまでこの作品の主題はサバイバル。壮太は、ハーレム的な状況に流されず、全員が助かるために努力を続ける、芯のある主人公として描かれます。そして、無人島の暮らしやすさにも、何か人工的な秘密があることがだんだんと明らかに。壮太たちの時空を越えた不思議なサバイバル、今後の展開に期待です。

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サバイバル漫画の金字塔を現代版にリメイク!『サバイバル~少年Sの記録~』

サバイバル~少年Sの記録~

『サバイバル~少年Sの記録~』 1~3巻 宮川輝・さいとう・たかを / リイド社

1968年から連載中の『ゴルゴ13』や、池波正太郎先生の『鬼平犯科帳』の漫画版など、精力的に活躍中のさいとう・たかを先生。そんなさいとう先生の代表作『サバイバル』を、「画業60年特別企画作品」として宮川輝先生がリメイクしているのが本作です。

オリジナルは、さいとう・たかを先生が1970年代に描いた少年漫画『サバイバル』。大地震に遭い、孤島で1人きりとなった少年が、ありあわせの道具で狩猟採集をしながら病や野獣と戦い、家族を探す物語です。アウトドアにも使えるサバイバルのノウハウが満載で、サバイバル漫画の金字塔と言われています。

ストーリーにはドライな非情さが満ちており、心を許した人や動物との別れや、地震後の社会に暴力や独裁が横行するさまは、戦争を知る世代の漫画家だからこそ描ける凄みがあります。

リメイク版である本作の特徴は、主人公のサトルがいかにも現代っ子なところ。魚が焼けただけで舞いあがる軽さや、今っぽい口調にはクスッとすることも。火の起こし方も、カメラを使っていたオリジナルとは異なり、ネットの知識を元に乾電池を使うという、21世紀の現代ならではの方法に変わっています。また、水を飲みすぎない方がいい理由として「体温より低い温度の水を過剰に摂取することは体温調節に余計なエネルギーを消費させ」てしまうから、など、リメイク版ではより明確に書かれている部分もあります。

そんなサトルですが、サバイバル生活の中で失敗しながらも次第に強くたくましくなっていきます。幾多の困難を乗り越えて主人公が成長していく様子が爽やかで感動的なのは、オリジナルもリメイクも変わらない魅力です。リメイク版が今後どのような展開になるのか、期待が膨らみます。

ちなみに、さいとう・たかを先生には青年版『サバイバル』とも言える『ブレイクダウン』という作品もあります。こちらは小惑星の衝突によって崩壊した街を生き抜く青年を描いたもので、少年漫画である『サバイバル』とはひと味違う迫力があり、こちらもおすすめです。

『サバイバル~少年Sの記録~』を試し読みする

東京で被災した帰宅困難者の7日間を描く、震災シミュレーション系サバイバル漫画『彼女を守る51の方法』

彼女を守る51の方法

完結『彼女を守る51の方法』 全5巻 古屋兎丸 / 新潮社

就職活動のため、東京・お台場に来た三島ジンは、中学時代の同級生・岡野なな子に再会します。その晩、マグニチュード8、震度7の地震が発生。ジンはなな子を守りながら早稲田の自宅へ向かおうとしますが、液状化や余震に邪魔されてなかなか進めません。また、助けを求める人々を救いきれなかった自責の念が、しだいに心の傷となっていき……。

『帝一の國』『ライチ☆光クラブ』などで知られる古屋兎丸先生が、実際に東京を歩き回って描いたサバイバル漫画です。防災ジャーナリストの渡辺実氏が監修しているだけあって、大地震後に東京に起こると予想されている災害が詳細かつ具体的に描写されています。また、時間の経過に従って被害が変遷していく様子も描かれており、防災ハンドブックとしてもぜひ読んでほしい作品です。

火災旋風により焼けた遺体が空から降ってくる、病院へ行ってもトリアージで優先度の高い患者しか診てもらえない、暴徒化した群衆が犯罪に走るなど、想定されている悲惨な事態に胸が痛くなります。同時に、歌が人々の心を癒やしたり、他人同士が助け合ったりと、「人間、捨てたもんじゃない」という部分も描かれています。

「実際に同じような事態に直面したら、どういう行動がとれるだろう」、読みながら自分の身に置き換えて考えてしまう作品です。

『彼女を守る51の方法』を試し読みする

5千光年を旅するSFサバイバル!青春要素も満載の『彼方のアストラ』

彼方のアストラ

『彼方のアストラ』 1〜3巻 篠原健太 / 集英社

突然、5千光年先の宇宙に飛ばされてしまった9人の男女が、力を合わせて地球帰還を目指す壮大なサバイバルSFが、『彼方のアストラ』です。物語の舞台は西暦2063年の地球。ケアード高校の新入生・カナタ、アリエスら9人は、生徒だけの宇宙キャンプのために惑星マクパへ。しかし到着した途端、謎の球体に飲み込まれ、見知らぬ宇宙空間に放り出されます。そこはなんと地球から5千12光年離れた宇宙。偶然、近くを漂流していた宇宙船に避難した彼らは、水と食料になる生物がいる惑星で補給を繰り返しながら、地球へ帰るという壮大な旅に出ることを決意します。

作者は、ヒット作『SKET DANCE』の篠原健太先生。骨太のSFでありながら、ユーモアを巧みに織り込んだ青春ドラマになっているところに、その持ち味が発揮されています。新入生同士、見知らぬ存在だった彼らが協力し、サバイブすることで絆を育んでいく展開には、笑いと感動が。運動神経が抜群、生物学に詳しい、など個々の才能を活かしつつ、お互いの欠点を補っていく彼らの友情。そして、男女が宇宙船という閉鎖空間にいることで、自然に恋愛展開も生まれます。

一番のミステリーは、誰が何の目的で彼らを宇宙に放り出したのか? ということ。宇宙船の通信機が何者かに壊されたことにより、序盤から黒幕の存在が示唆されますが、3巻に入ると地球にいる大人たちの思惑も描かれ、謎がぐっと深まることに。SF、ミステリー、青春を織り交ぜた、良質のエンターテイメント作品です。

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サバイバルに活かせるノウハウが満載!リアル過ぎる狩猟漫画『山賊ダイアリー』

山賊ダイアリー リアル猟師奮闘記

完結『山賊ダイアリー リアル猟師奮闘記』 全7巻 岡本健太郎 / 講談社

サバイバルにおいて、重要なのは食料の調達。日本の野山でそれを最も得意としているのが、猟師さんでしょう。岡本健太郎先生の『山賊ダイアリー リアル猟師奮闘記』は、タイトル通り、漫画家兼猟師としての日々を描いた漫画。なかなか知ることができない猟師の世界を垣間見ることができ、同時にサバイバルにも役立つ具体的な知識も身につく作品です。

東京から地元の岡山に戻り、猟師になることを決意した岡本先生。まずは猟銃免許を取得し、ライフルを買うことから、猟師生活はスタートします。岡本先生が選んだのはエアライフル(空気銃)。他の猟師が散弾銃を使う中、空気銃での猟を続けます。

狩猟が許されているあらゆる鳥や獣が標的ですが、動物を撃つのは、それを食べるため。狩猟シーンと同じくらい、どのようにして動物をさばき、料理するかが、詳細に描かれています。時には、猟の途中で偶然捕まえたマムシや、害鳥駆除を頼まれて撃ったカラスを食べることも。この雑食性が岡本先生の美点。奪った命をおろそかにしないのです。

また、野山の植物や川魚をいかに食べるかのウンチクも。日本の野山で遭難した時のために覚えておきたい情報が、本作にはたくさん詰まっています。全7巻で完結しましたが、その続編『山賊ダイアリーSS』が、現在連載中。こちらでは海での漁にも挑戦。岡本先生のハンティング・フィールドはますます広がっています。

『山賊ダイアリー リアル猟師奮闘記』を試し読みする

のほほん系の異色サバイバル漫画!『地球の放課後』

地球の放課後

完結『地球の放課後』 全6巻 吉富昭仁 / 秋田書店

無人の街と化した東京で、4人のティーンズが助け合って暮らしている姿が描かれた、日常系サバイバル漫画です。菜園で野菜を作ったりもしていますが、必要な物資は街中から調達できるため、4人とも文字通り放課後のように、海へ行ったりコスプレを楽しんだりして過ごしています。物の豊富な東京でサバイブするのは意外と大丈夫なのでは? と思ってしまう作品です。

見どころは、主人公の正史少年を囲んで、早苗・八重子・杏南の少女3人が、甘えたり絡んだりセクハラしたり!? しているところ。ほんわかとした雰囲気で、絵柄を見ているだけで和みます。謎の存在“ファントム”が現れて東京の人々を消してしまった、という設定にほのかな恐さがありますが、終盤でファントムの正体や正史たち4人の関係が明らかになり、SFとしても秀逸です。

作者の吉富昭仁先生は本作の他、『スクール人魚』『しまいずむ』など多数の作品がある漫画家さん。『EAT-MAN』はアニメ化もされています。

『地球の放課後』を試し読みする

サバイバル漫画の金字塔『漂流教室』

漂流教室〔文庫版〕

完結『漂流教室〔文庫版〕』 全6巻 楳図かずお / 小学館

1972年から1974年にかけて雑誌連載された楳図かずお先生の『漂流教室』は、後世の作品に大きな影響を与えた、サバイバル漫画の古典中の古典です。小学校が、まるごと未来世界へタイムスリップ。無人の砂漠が広がり、空はスモッグで真っ黒という荒廃した世界を、主人公の高松翔をはじめとした児童たちは、生き抜くことになるのでした。

子供たちの視点で分かりやすく描かれながら、深いドラマが展開する本作。極限状況に耐えられなくなって最初に死んでいくのが、常識に縛られた大人である教師たちだったり、子供たちの間で大人顔負けの権力闘争が生まれたり、限られた食料の醜い奪い合いが起こったりと、人間描写はリアル。さらに、巨大な怪虫や、不気味に進化した未来人類が登場し、ホラー要素も満点。次から次へと息つく間もなく事件が起こっていく、ジェットコースター的な展開も見事です。

ストーリーの裏にあるのは、限られた資源を使い果たし、環境破壊を続ける現代人への警鐘。公害問題が高まった70年代ならではのテーマですが、自然災害や凶悪犯罪の多発といった21世紀の現状を先読みしている面もあり、その先見性には驚かされます。と言っても暗いばかりの物語ではなく、ラストには未来を変える希望が。人間を信じようとする、楳図かずお先生の前向きなメッセージが伝わってきます。

『漂流教室〔文庫版〕』を試し読みする

最後に

アウトドアの知識のために、予期せぬ災害に備えて、と、面白さだけではなく知識も得られるサバイバル漫画。人間の価値を問われる描写には、読後に考えされられることも多いです。

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