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恋愛を描いた青年漫画オススメ12選【純愛から不倫、ラブコメからシリアスまで】

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少年漫画には恋愛をテーマにした作品はいっぱい。でも、そのほとんどが学校を舞台にした作品です。もう学生ではなくなった大人達が、今の自分と同じ目線で恋愛漫画を読みたい! 大人が堂々と読めるラブコメ漫画を知りたい! そんな方々にオススメしたいのが、今回紹介する青年漫画12作。まだ見ぬ物語に出会っていただくために、最新作から定番作までバリエーション豊かにピックアップしました。ぜひぜひ、恋にときめく喜びと葛藤に浸ってください。

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『ハレ婚。』

『ハレ婚。』

『ハレ婚。』 1〜17巻 NON / 講談社

久々に帰った地元が一夫多妻制に?主人公が3番目の妻になる!

ハレ婚とは、ハーレム婚のこと。一夫多妻制が合法になった、日本のとある地方都市の物語です。

主人公は22歳の前園小春。付き合っていた男が既婚者だと気づいた彼女は、男と別れ、4年間の東京暮らしにピリオドを打って、地元に帰ることに。そして、市が驚くべき条例を定めていたことを知ります。それは過疎化、少子化対策として、ハレ婚、つまり一夫多妻制を認める条例。市民の男性には4人まで妻を持つことが許されているのでした。

実家の喫茶店を手伝い始めた小春の前に現れたのが、謎の男・伊達龍之介。25歳で家族なし、無職。パッと見、暗い印象はありますがイケメンで、小春の実家の借金を立て替えるためにポンと1000万円出せるような資産家でした。実は音楽の世界では有名人であることが、後に分かります。

龍之介は、ハレ婚制度を利用している数少ない市民のひとりでした。第1夫人のゆずは市長の娘で、家事全般が得意な26歳のギャル。第2夫人のまどかは21歳と若いけれど、落ち着いていて、和服の似合う美人です。そんな2人に愛されている龍之介は、なんと小春にもプロポーズ。実家の借金をすべて肩代わりしてくれた彼に恩義を感じたこともあり、小春は求婚を受け入れます。そして、夫1人・妻3人による同居生活が始まっていくのです。

夫が3人の妻の部屋を一晩ずつローテーションで回り、それぞれの妻とベッドを共にするという、常識からは遠く外れた結婚生活。ゆずとまどかはそれを受け入れているだけでなく、龍之介ほど誠実な男はいない、とまで言い放ちます。いったいどんな出会いやドラマがあって、彼らはハレ婚という生き方を選んだのか、小春でなくても気になります。

お色気的な展開やコメディシーンも多いですが、一人の夫と複数の妻が愛し愛される状況とは、どういうことか、そこにどのような感情が生まれるのか、しっかり考えて描かれているのが本作です。市の条例で決まったとしても、ハレ婚は市民に受け入れられたわけではありませんし、小春も両親、特に父親からの猛反対を受けます。
しかし、幸せの形は個人によって違うはず。生きるためにハレ婚を選び、今、幸せなのが龍之介達なのです。

「“フツー”の夫婦って・・・どの程度まともに夫婦やれてるんだろうねぇ」(2巻)

と、龍之介は逆に問いかけます。

少しずつ、龍之介を受け入れ愛し始める小春。逆に揺れ動くゆずやまどかの心。常識とは違う生き方をしている分、彼らの感情の振幅は大きく、ドラマティックなストーリーが展開します。

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『あなたがしてくれなくても』

『あなたがしてくれなくても』
『あなたがしてくれなくても』 1〜2巻 ハルノ晴 / 双葉社

セックスレス夫婦の心の問題をリアルに描く

夫婦のセックスレス問題を突き詰めて描き、青年誌に連載されつつも、女性からも多くの共感を得ている作品です。主人公は会社員の吉野みち。5年前に3歳上の陽一と結婚し、現在は32歳。セックスレスになってから2年が経っています。

決して仲が悪いわけではない、みちと陽一。セックスレスの直接の原因は陽一にあります。とにかく彼がセックスを回避するのです。怒ったみちをなだめるために、

「水曜早く帰るから しよ?」

と自分から言っておいて、当日の夜に上司と飲むから遅くなると携帯でメッセージ。愛されたいという思いが空回りし続けるみちの心は、

「このまま女として終わるのかなぁ…?」

と、どんどん追いつめられていきます。

そんな時、彼女の視野に入ってきたのが、同僚の新名。36歳のイケメンで性格のいい彼もまた、妻・楓とのセックスレスに悩んでいたのでした。会社の飲み会の後、二人きりで立ち寄ったバーでお互いの悩みをカミングアウトしたことで、みちと新名の距離は一気に縮まっていきます。自分にとっての新名は、愛する人とのセックスレス問題に立ち向かう戦友。最初はそう考えていたみちですが、連帯感は少しずつ恋という別の感情に変わっていきます。

何度も何度も、陽一に拒絶されるみち。その夫婦のやり取りがものすごくリアルなのが、本作が多くの読者に指示される理由でしょう。大声を出し合うような派手なケンカはほとんど描かれません。いつもよりかわいいパジャマを着て、ネットで買った香水をつけ、ドキドキしながらソファで陽一に寄り添ってみたら、

「オレそれあんま好きじゃないわ」

と距離を保たれ、真面目にセックスレスについて話し合おうとすると

「みち性欲強くない?」

と問題をすり替えられ、挙げ句の果てに実はED(勃起不全)なんだと嘘の告白をされて、みちの寂しさ、虚しさは限界に。みちはつい、新名の前で涙をボロボロと流してしまい、彼に抱きしめられるのでした。

2巻に入ると、新名と妻の楓の関係性も描かれることに。楓は雑誌の副編集長を務めるキャリアウーマン。容姿もファッションセンスも完璧で、夫よりも仕事を優先するタイプです。新名は彼女の助けになりたいと思うのですが、その思いも一方通行。楓の前で咳をしても、

「やだーうつさないでよ 今仕事やすめないんだから」

と言われるだけで、夫の体への気遣いなど全くありません。
さらに、みちを拒絶し続ける陽一の内面描写も多くなり、大好きな妻を愛せない彼の悩みも明らかになっていきます。

2組のカップルを苦しめるセックスレス問題。そのうちついに、4人のうちの誰かがパートナー以外の相手と一線を越え、物語は新たな段階に。今後の展開から目が離せません!

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『モテキ』

『モテキ』
完結『モテキ』 全5巻 久保ミツロウ / 講談社

複数の女性と関わりながら、愛を掴めない主人公がもどかし過ぎる

2008年から2010年にかけて雑誌連載。連載終了後の2010年夏に、大根仁監督、主演・森山未來さんでTVドラマ化され、大反響となった作品です。映像化はさらに2011年9月公開の映画版へと続いていきました。

主人公・藤本幸世は、20代最後の夏にいきなりのモテ期を迎えます。単なる友人から過去にフラレた相手まで、今まで関わってきた女性達から一気に連絡が来るようになったのです。藤本は誘われるがままに複数の女性と会い、もしかしたら恋愛に発展するかもと、ドキドキすることに。しかし、自信のない優柔不断な態度が災いして、どれもが暗礁に乗り上げていくのでした。

同じ会社で派遣社員として働き、1年前に一緒に行ったロックフェスで、手をつなぎ合った土井亜紀。気の合う友達として長年付き合い、それを越えることのなかった年下の子・中柴いつか。3年前に偶然路上で出会い、告白してフラレた美女・小宮山夏樹。さらに帰省した時に再会した元ヤンの同級生・林田尚子。いずれも魅力的な女性たちが、ヒロインとして藤本と関わりを持っていきます。

いったいどんな言動がモテに繋がるのか。逆にどんなことをすると女性の不興を買ってしまうのか? 本作は、悩める男性読者にとっては一種のバイブルとなる作品。藤本のダメさ加減を笑いつつも、自分自身の体験と重ね合わせながら読んでしまう男性読者は、少なくないと思います。
女性からのアクションを待ってしまうのが藤本で、土井亜紀の

「あいつどこまで受け身なんだヨ 全部女に言わせてんじゃねーよ」

という絶叫が、めちゃめちゃ的を射ています。

本編は4巻で終了。最後の一冊は番外編の4.5巻で、途中から出番が少なくなってしまった中柴いつかの、その後の物語となっています。

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『蛇沢課長のM嬢』

『蛇沢課長のM嬢』
『蛇沢課長のM嬢』 1〜4巻 犬山すくね / 小学館

ドMなエリートサラリーマンが見つけた理想の部下とは?

マニアックな性癖を隠し持っている人にオススメしたいのが、こちら。SM要素が入った大人のラブコメです。

住宅総合メーカーに勤める蛇沢順は、高身長高学歴のイケメンで営業成績もトップという28歳のスーパーサラリーマン。ところが彼は、女性に罵倒されて喜ぶドMだったのです。

そんな蛇沢に目を付けられてしまったのが、新入社員の螻川内美々子(ケラカワチ ミミコ)。童顔でおかっぱの、かわいい系の女子ですが、怒った時の罵倒ぶりが見事。それを目撃した蛇沢が自分の部署に引き入れて、事あるごとに美々子に自分へのドSな仕打ちを要求するのでした。彼女に罵倒されればされるほど、蛇沢の営業成績は上がるので周囲も二人のプレイを放置、というかむしろ歓迎する始末。ある意味、公認のSMカップルになっていきます。

蛇沢が美々子にかける言葉は、Mッ気すらなければ、恋人のそれです。たとえば自分のせいで美々子に擦り傷を負わせてしまった時。

「どうか責任を取らせてほしい」

と誠実に頭を下げる姿にドキドキさせられる美々子でしたが、次に出てきたのは

「さあ思う存分私を痛めつけてくれたまえ」

トキメキは一気に冷めていきます。

最初は自分にはSッ気はないと嫌がっていた美々子でしたが、次第に、いじめた時に見せる蛇沢の苦痛と喜びが入り交じった表情にゾクゾクするように。実は天性のSの才能を持ち、その謎も物語の中で明らかになっていきます。

ラブコメとしては穏やかな作品ですが、美々子のすばらしい罵倒の数々に、刺激と快感を得る読者はきっといるはずです。

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『理系が恋に落ちたので証明してみた。』

『理系が恋に落ちたので証明してみた。』
『理系が恋に落ちたので証明してみた。』 1〜4巻 山本アリフレッド / フレックスコミックス

恋愛を科学すると、進展は限りなく遅くなる……

理系の大学院生カップルによるラブコメ。恋とは何か、科学的に証明しようとする男女が主人公で、彼らのいかにも理系っぽい生真面目なやり取りが笑いどころになっています。

雪村心夜(ユキムラ シンヤ)と氷室菖蒲(ヒムロアヤメ)は、同じ研究室に所属する大学院生。菖蒲が、パソコンに向かって作業しながら、

「私、雪村くんのこと好きみたい」

と突然の告白をするところから、物語は始まります。それに対する雪村の答えは、

「『好き』の定義は何だ?」

嬉しいとか、困るとかじゃなく、まずはそこから。恋が始まる時も、その定義がはっきりしないと気が済まないのが理系なのです。ここから二人は、恋を科学的に証明するため、さまざまな仮説を立て、実験を繰り返していきます。

たとえば、「心拍数を測れば恋のときめきを定量的に計測できる」ということで、二人して計器をつけ、「好きな人とやったらドキドキする状況」を再現。雪村が菖蒲の顎を指先で持ち上げてみたり、ベンチで菖蒲が雪村にもたれかかってみたりしながら、心拍数をグラフにしていきます。

菖蒲の心拍数が常に高かったので、恋愛確定かと思いきや、雪村は実験結果を都合よく解釈すべきではないと、ばっさり。菖蒲もそれに納得し、実験の回数を増やして、データの精度を高めようとします。それを見ていた後輩の女の子が、「一生やっとれ」。まさにその通りで、理系2人の恋は全く進展していきません。なんと二人の初の学外デートは2巻に入ってからというペースの遅さ。理系ってホント、大変デスネ。

恋愛漫画としてはジリジリさせられますが、各話の実験や用語を解説してくれる「リケクマの理ア充用語解説コーナー」があったりして、情報量が多い理系漫画でもあります。

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『ガイシューイッショク』

『ガイシューイッショク』
『ガイシューイッショク!』 1巻〜 色白好 / 小学館

感じるのが先か勃つのが先か。男と女の奇妙なバトル

「同居人がラスボス! Hなバトルコメディ!!」というのが、本作の公式キャッチコピー。その言葉にいつわりなく、マンションの部屋の中で繰り広げられる男と女の、ちょっと奇妙なバトルを描いた作品です。不動産会社のサラリーマン・小森広海は、接客した境みちるに弱みを握られ、自宅マンションの空き部屋に彼女を住まわせることに。見知らぬ男女の共同生活が、唐突に始まります。

とにかく強烈な個性を放つのが、みちるというヒロインです。小柄で巨乳でつり目がかわいい、20歳の駆け出しの漫画家。性格はめちゃくちゃ強気で、男を見下し利用するタイプです。小森の家に転がりこんだきっかけは、電車の中で彼の携帯を奪って、自分の下着を写し、「部屋かして。盗撮魔さん。」と脅したことでした。

同居させても、感謝の態度など示すわけもなく、掃除も洗濯も食事の片付けも一切やらない傍若無人ぶり。鬱憤がたまりにたまった小森から抗議を受けると、みちるが言い出したのが、

「10分間、私の体のどこをマッサージしてもいい。私が喘ぎ声を出したらあんたの勝ち。あんたが勃起したら私の勝ち」

というちょっとエッチな勝負でした。

敗者は勝者に服従するという条件をのんで、小森はバトルを受けて立ちますが、もちろんみちるの強気な心と迫力のボディに勝てるわけがありません。

二人はいがみ合うばかりでなく、たまに見せるみちるの笑顔がとんでもなくかわいいのがポイント。奇妙なバトルは何度も続くのですが、その度に二人の距離が縮まっているような感も、なきにしもあらずなのです。これは恋愛の変種なのかもしれません。

タイトルの「鎧袖一触」は、“よろいの袖でちょっと触れる程度のわずかな力で、簡単に相手をやっつけること”の意。みちるに負けてばっかりの小森に、逆襲の時はやってくるのでしょうか?

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『ホームルーム』

『ホームルーム』
『ホームルーム』 1〜2巻 千代 / 講談社

サイコパス教師と思い込みが激しい女子高生の恋の物語

女子高生と教師の恋を描いた作品はいくつもありますが、本作ほどヤバいものにはなかなかお目にかかれません。

とある高校の三年二組。優等生の桜井幸子は、いじめの標的になっていました。その日も、接着剤を塗られた椅子に座ってしまい、授業中に立ち上がれなくなる事態に。そんな幸子を椅子ごと抱き上げて保健室に連れて行ってくれたのが、担任教師の愛田。若くて明るく爽やかな彼は、生徒達から「ラブリン」と慕われる存在であり、幸子にとっては、辛い日々から救い出してくれる救世主でした。

しかし、第1話にして愛田の本性が暴露されます。仕事を終えて自宅に戻った時に、アパートのゴミ捨て場に捨てたのは瞬間接着剤。なんと、幸子をいじめていた張本人は彼でした。

なぜ愛田は幸子を不幸にするのか。それは自分が幸子のヒーローでありたいから。愛田は、幸子を守るためならなんでもしようと心に誓っています。幸子のために彼女の寝室に潜り込み、スマホを通して盗撮・盗聴し、GPSによって彼女の居場所を24時間監視しているのです。つまり、愛田は完全なるサイコパス教師なのでした。

愛田の正体を知らず、彼を慕い続ける幸子もまた、ちょっと普通とは違った女子高生です。母子家庭で育ち、派手好きな母親は男と蒸発。頼る者がいない境遇ではありますが、愛田のことをナポレオンに見立てて崇拝したり、自分が生きていけるのは「貴方が作った風が吹くから」とポエムっぽく浸ったり。とにかく思い込みが激しくて、彼女もまた意外な行動に出ることに。

愛田と体の関係を結びたくてしょうがない美人養護教諭・椎名や、モヒカンの不良・矢沢など、脇役にもクセの強いキャラがぞろぞろ。彼らがどんな騒動を起こし、幸子と愛田に絡んでくるのか、一見穏やかな学校生活の裏で進行する危険なドラマに注目してください。

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『恋のツキ』

『恋のツキ』
『恋のツキ』 1〜6巻 新田章 / 講談社

31歳女子は15歳男子と付き合うことができるのか?

3年間同棲し、結婚が視野に入ってきた彼氏。31歳という年齢。そして突然現れた遥か年下の恋人候補。揺れ動く女性の心境を描き、青年誌での連載ながら、多くの女性読者の共感を集めている作品です。2018年に、テレビ東京とNetflixのタッグによりドラマ化もされました。

「女は30過ぎたら結婚と出産を考えなきゃとか…当たり前」と一応は考えている平ワコ。同い年の彼氏・ふうくんとの同棲は3年を過ぎ、このまま行けば結婚になるはずですが、一緒に住んでいるからこそ、彼のだらしなさも見えてきて、正直、異性としての魅力を感じることはできなくなっていました。

そんな時に出会ったのが、高校1年生のイコ(伊古ユメアキ)。15歳という年の差を知りつつもワコは、ころりと恋に落ちてしまいます。彼氏はいないと嘘をついてイコを本気にさせ、ついに告白されるのでした。

「すごいじゃん 私」

「まだ 恋できるじゃん!」

と色あせた日々が急に華やいだワコ。しかし、ふうくんと暮らした時間や、積み重ねてきた思い出を簡単に捨てることもできず、二人の男性の間を行ったり来たりすることに。

本作が読者の心に刺さる理由の一つに、ワコの赤裸々なモノローグがあります。「これから先ずっと誰にも選ばれなかったらって思うと すっっごい 怖い……」し、「ふうくんは「当たり前」の年相応の生活に必要なものをくれる」から捨てがたい。しかし、彼と暮らしていれば「これから先どんどん『トキメキ』は生活に奪われる」。そんなふうに現在と未来を天秤にかける31歳の女性の言葉は、とてもリアルです。

ストーリーが進むごとに深みにハマってる感のあるワコ。いったい、彼女は誰を選び、そして誰に選ばれることになるのか? 物語はまだまだ終わりません。

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『1122』

『1122』
『1122』 1〜4巻 渡辺ペコ / 講談社

外に恋人を作ってもOKという夫婦間のルールに考えさせられる

夫が外で他の女性と付き合い、性的な関係を結ぶことを公認している妻。普通の感覚ではちょっと考えられない「婚外恋愛許可制(公認不倫)」というルールを作って暮らしている夫婦の姿を描いた作品です。

いちこ(相原一子)とおとやん(相原二也)は、結婚7周年を迎える30代半ばの夫婦。子供はなく、もう1年以上セックスレスです。いちこにとってのおとやんは、「夫で家族でズッ友で相棒で理解者でいちばん信頼してるひと」。しかし、濃厚なキスはもう出来ないと感じています。そんないちこを置いて、おとやんは週に一度、恋人とホテルでデート。月に一度はお泊まりすら公認されているのでした。

そもそも「婚外恋愛許可制」のもとになったのは、仲が良く、言葉で十分にコミュニケーションが取れている2人にセックスは不要と、いちこがおとやんを拒絶したことでした。その時に不用意に放った

「男性はいろいろあるもんね 風俗とか」

「それにおとやんってモテなくないっしょ」

という言葉におとやんの心は折れ、二人の関係はこんがらがっていったのです。

夫が外でセックスしているのを知りながら、夫婦としてうまくやっていけるのか? 本作はいちこの心理を細やかに描いて、その問題を検証していきます。理性では納得していても、感情は別なのが人間。他の女性にときめくおとやんを常に目の当たりにして、平静でいられるわけはありません。それにいちこには、この先の人生がずっとセックスレスになることへの怖れと寂しさもありました。

一方、おとやんの恋人である美月は、夫と一児の子がいる身。彼女の複雑な家庭環境も並行して描かれていき、夫婦間のさまざまな問題を浮き上がらせていきます。

物語が進むと、いちこも外にセックスを求めることに。そんな状態に突入しても、果たして夫婦生活は続けられるのか?

「思えば遠くに来たもんだ どうしてこうなった」

といういちこの言葉が胸に沁みます。

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『あせとせっけん』

『あせとせっけん』
『あせとせっけん』 1巻〜 山田金鉄 / 講談社

体のにおいを嗅ぐことで結びついたカップルの純愛ストーリー

「におい」で繋がる恋をテーマにした珍しい作品。主人公カップルが爽やかで、まっすぐな恋愛が描かれています。

化粧品&バス用品メーカーの経理部に所属する八重島麻子は、メガネ姿が特徴の地味め女子。悩みは汗っかきなことで、子供の頃に付けられた「汗子」というあだなは、今でもトラウマになっていました。そんな彼女に

「君のにおいにビビッときた…!!」

と言って、いきなり背後から体臭を嗅いできたのが、名取香太郎。商品開発部に所属する彼は、多くの売れ筋商品を生み出してきた会社のヒットメーカーでした。

「会社のためです!! これから毎日1週間… 俺は君のにおいを嗅ぎに来ます!!」

普通に考えたら、かなり気味の悪い香太郎の頼みを、麻子は受け入れてしまいます。香太郎の態度は真剣そのものでしたし、何よりも彼女自身が、香太郎が生み出した商品の大ファンだったからです。

体臭のわずかな違いで、麻子の体や心の状態をずばり言い当ててしまう香太郎。考えてみれば、これほど自分を理解してくれる異性はなかなかいません。二人が恋に落ちるのは当然の成り行きで、においを嗅ぐことを伴った交際が始まっていきます。

においを嗅がれるということは、異性の顔が限りなく肌に近づいてくるということ。そして、生々しい自分の体をさらすことでもあります。それゆえに二人の接触はいつも、どこかエロティック。描かれているのは正統派の恋愛ですが、汗と体臭のシズル感が常に伴っていてドキドキさせられるのが本作の魅力です。

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『恋は雨上がりのように』

『恋は雨上がりのように』
完結『恋は雨上がりのように』 全10巻 眉月じゅん / 小学館

17歳と45歳。究極とも言える年の差の恋が注目された

2018年1月に第63回小学館漫画賞を一般向け部門で受賞。TVアニメ化に続いて、小松菜奈さんと大泉洋さんの主演によって映画化された人気作です。

橘あきらは、放課後ファミレスでバイトする17歳の女子高生。黒のロングヘアとスレンダーな長身で、かつては陸上部の短距離走のエースとして活躍していました。そんな彼女が密かに心を寄せているのが、店長の近藤正己。45歳の中年男性です。

客のクレームにペコペコと頭を下げたり、一目をはばからずくしゃみをしたり、頭にはストレスによる10円ハゲがあったりと、中年感丸出しの近藤。自然体で生きていると言えなくもありませんが、まあ、かっこいい男ではありません。そして、小学生の子供がいるバツイチ独身です。

あきらはあきらで、同年代のいわゆるイケメンには興味がなく、クラスメートから好意を寄せられてもスルー。男性の好みの話も、友達とは全く噛み合いません。言葉数が少なく、感情が表に出にくいタイプであり、目つきが鋭いこともあって近寄りがたい雰囲気も。だからこそ店長と会話したり、体が偶然触れたりした後にそっと浮かべる、他の誰にも見せない笑顔がかわいいのです。

同じ職場で働きながら、少しずつ近藤との距離を縮めていくあきらは、ついに告白へ。しかしあまりの年齢差に、近藤にとって、あきらを恋愛対象として見ることは簡単なことではありませんでした。

年齢差のある恋愛を中年男性のファンタジーではなく、あくまで人と人とのドラマとして描いていく本作。近藤があきらに対する態度を決める最終巻の展開には、納得させられます。そして、『恋は雨上がりのように』 というタイトルにこめられた意味も明らかに。青春ドラマであり大人のドラマでもある良作です。

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『この恋はツミなのか!?』

『この恋はツミなのか!?』
『この恋はツミなのか!?』 全1巻 鳥島灰人 / 小学館

ひねくれ者で経験不足の男子が年上女性との恋にがんばる!

2018年12月から柏木由紀さんと伊藤健太郎さんのダブル主演でドラマ化された、今、注目の作品。年齢も社会的な立場も女性の方が上という格差恋愛がテーマです。

主人公の小日向大河は、24歳の会社員。他人とうまくコミュニケーションできず、つい尊大な態度を取ってしまう、こじらせ気味の童貞です。そんな彼が出会ったのが、駒田多恵でした。下着が丸見えになっているのに気づかず、居酒屋のトイレから出てきてしまうようなドジっ子で、童顔・黒髪・メガネ・コロコロとしたしゃべり声・巨乳と、いかにも恋愛経験が少ない男子が好きになりがちなタイプ。そんな彼女を目の当たりにして、大河は勇気を絞って「僕と…っ、お友達になってくれませんかっ…!?」と告白します。

最初は、多恵の顔と名前しか知らなかった大河。しかし、友達づきあいをしていく内に、彼女が自分よりずっと年上で、しかもプロの女流棋士であることが分かります。TVに出る仕事もして、将棋ファンから美人棋士と注目され、厳しい勝負の世界で生きている多恵。そんな彼女と自分を比べて、大河はまたまた自信を失っていくのでした。

恋愛経験がほとんどない大河が、年上女性を相手にいかに恋を育んでいくか、というのが本作のストーリー。いじけることが多い主人公像にはちょっとフラストレーションが溜まるかもしれませんが、多恵を大切にしようと思う純粋な心には共感できます。多恵も大河に優しかったり天然であったりするばかりではなく、自立した30代女性としての姿をちゃんと見せてくれます。

二人はどうやって友達から恋人になっていくのか? 全1巻できれいな完結を迎えるのですが、まだまだ大河は発展途上という終わり方です。特にあのラストシーン、読めば誰かと語り合いたくなるはず。

『この恋はツミなのか!?』を試し読みする

終わりに

仕事や生活、さらには世間の目もあり、学生だった頃のようながむしゃらな恋は難しくなってしまった大人達。それでもときめきを忘れたくないという気持ちが、今回紹介した作品からは溢れていました。登場人物達の悩みや葛藤は、自分の心に嘘をつきたくない、人生を豊かなものにしたいという真摯な思いからもたらされるもの。時に過ちを犯しますが、それもまた人間。大人ならではの、生身の恋の物語を味わってください。

 

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