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書店員厳選!おすすめの哲学系漫画8選

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ベストセラーとなった『漫画 君たちはどう生きるか』、手塚治虫の不朽の名作『火の鳥』など、人生や世界についての深い考察を味わえる作品が漫画には数多くあります。その中から、上記2作を含めた8作をご紹介。シリアス系はもちろん、気軽に読める作品や面白いセリフの中に深みを感じさせるギャグ作品もセレクトしました。読めば、あなたもきっと真理に近づけるはず!

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『漫画 君たちはどう生きるか』

漫画 君たちはどう生きるか

完結『漫画 君たちはどう生きるか』 全1巻 吉野源三郎・羽賀翔一 / マガジンハウス

人間らしい生き方を、中学生のコペル君と一緒に学ぶ

今、最も読まれている哲学系漫画がこれ。戦前の1937年に刊行された吉野源三郎先生の小説を漫画化した作品です。2017年8月に発売され、1年とかからずに200万部突破の大ベストセラーになりました。糸井重里さん、池上彰さんら著名人からも絶賛されています。

主人公は、中学校2年生のコペル君。ある日、学校で友達にひどい裏切り行為をしてしまったことを悔やむ彼に、元編集者だった叔父さんが一冊のノートを手渡します。そこには近所に越してきてからずっと、コペル君の成長を見守り続けてきた叔父さんからの、大切なメッセージが記されていました。

コペル君というのは叔父さんが付けたあだ名で、地動説を唱えたコペルニクスに由来します。そのきっかけとなったのは、銀座のデパートの屋上から地上の人々を見下ろしていった、コペル君が言ったこんな言葉でした。

「ほんとうに人間って分子なのかも……」

一人一人の人間が分子となって世の中を作っていることに、自らの思索によって気づいたコペル君に、おじさんは感銘を受けたのです。

その日を皮切りに、叔父さんはコペル君を、自ら考えて生きることができる「立派な人間」になれるよう、優しく導いていくのでした。

物語は、学校や友達との出来事を中心に、コペル君の日常を描いていきます。同級生のいじめにどう対応するか、貧しい友達とどう接するか。いろいろな問題に突き当たったコペル君は、その度に自分自身で考え、乗り越えていくのです。各章はコペル君の日々を描く漫画パートと、叔父さんからのメッセージによる文章パートに分かれていて、読者はコペル君と同じ目線で、叔父さんからの教えを受けられる仕組みになっています。

物語はやがて冒頭のエピソードに戻り、友達を裏切ってしまったコペル君に最大の苦悩が。そんな時、叔父さんのノートには、「心に感じる苦しみやつらさ」のおかげで、

「人間は本来どういうものであるべきかということを、しっかりと心に捕らえることができる」

と書かれていました。今の苦しみは、

「君が正しい道に向かおうとしているからなんだ」

と。間違いを犯した時、この言葉ほど励まされる言葉はありません。

人生をどう生きるか。それは一人一人が自分と向かい合って答えを出すこと。そんなテーマが全編を貫いている、人生の最良の指南書です。

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『ここは今から倫理です。』

『ここは今から倫理です。』

『ここは今から倫理です。』 1〜2巻  雨瀬シオリ / 集英社

倫理教師が、古今東西の名言を引いて悩める高校生を救う

高校の選択科目・倫理。日本史や世界史、地理などと比べるとマイナーで、受けずに卒業した人も少なくないと思います。倫理の魅力を知らないあなたに、こんな先生なら授業を受けてみたい! と思わせてくれるのが本作です。

主人公は、美形でクールな倫理教師・高柳。彼のクラスには、あまりやる気のない15名の生徒が集まりました。その最初の授業で、高柳は

「倫理は学ばなくても 将来困る事はほぼ無い学問です」

と言い切ります。しかし、人間とは何かという本質的な問いを扱うのが倫理。

「知っておいた方がいい気はしませんか」

と高柳は言葉を続けるのでした。

生徒達のさまざまな問題を、高柳が倫理の授業を通して解決していくというのが、本作の基本的なストーリー。たとえば、頭脳明晰でプライドが高く、自分が考えていることが一番正しいと信じている酒井美由紀には、

「誰もが自分の視野の限界を世界の視野の限界だと思っている」

というドイツの哲学者・ショーペンハウアーの言葉を引いて諭します。

ぬいぐるみにしか心を開くことができない女子や、周囲に比べて自分が平凡であることにコンプレックスを抱いている男子、冴えない教師を誘惑してセクハラ問題を起こそうとする女子など、生徒達の心のねじれを、古今東西の偉人の言葉を引用しながら解きほぐしていく高柳。態度はクールですが心はとても温かく、教育への情熱を持っている彼は、理想の教師です。

自分の考えを決して押しつけようとしないのも、高柳のいいところ。ある女生徒の心の苦しみを和らげた後、

「何を読もうと聞かされようと 自分自身の理性が同意した事以外何も信じるな」

というゴーダマ・シッダータ(ブッダ)の言葉を引用し、

「私の話も信じなくていいですからね」

と、優しく微笑みます。

「倫理は主に 自分がひとりぼっちの時に使う」学問である

というセリフも、印象的。教養を磨き、自分自身で考えることが大切という教えは、先に紹介した『漫画 君たちはどう生きるか』とも通じ合っています。

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『火の鳥』

火の鳥

完結『火の鳥』 全16巻 手塚治虫 / 手塚プロダクション

永遠の命を持つ「火の鳥」を通して、有限の人生の意味を考える

哲学系漫画で、この作品を紹介しないわけにはいきません。1954年から1988年まで描き続けられた手塚治虫先生のライフワーク、不朽の名作『火の鳥』です。

火の鳥とは、永遠の命を持つ鳥。人間を遥かに超えた全知全能の存在であり、人々の生を見守り続けます。その生き血を飲めば不老不死の体が手に入るという言い伝えがあり、権力者など欲深い人間に狙われることも。人の言葉を介し、テレパシーのように人間の心に直接話しかけることもできます。

全16巻で12のエピソードが描かれる本作。最初の「黎明編」はヒミコが生きていた3世紀の日本が舞台。次の未来編は一気に西暦3403年に移り、遥か未来の核戦争が描かれます。このように過去と未来を行ったり来たりするのが本作の特徴。14巻から始まる「太陽編」のように7世紀と西暦2009年という二つの時代を繋いで展開するエピソードもあります。

描かれているのは、その時代を懸命に生きる人間の姿。そして、各登場人物の死生観です。「黎明編」の主人公ナギは火の鳥と出会い、

「なぜおまえだけが死なないで おれたち人間はみんな死んでいくんだ どうしてそう不公平なんだっ」

と尋ねます。

「人間は虫よりも魚よりも犬や猫や猿よりも長生きだわ その一生のあいだに 生きる喜びを見つけられれば それが幸せじゃないの?」

というのが火の鳥の答えでした。限られた人生だからこそ美しい。そんな哲学が本作には貫かれているのです。

それに呼応するように、『火の鳥』には多くの愛の物語が描かれています。「復活編」では、主人公の少年・レオナが旧式のロボット・チヒロに恋することに。ある障害によって、レオナにはチヒロが美しい人間の少女に見えているのでした。また、「太陽編」では、人間である犬神宿禰(イヌガミノスクネ)と、狗族という土着の神の少女マリモとの恋が。一方で、「鳳凰編」の我王のように芸術と贖罪に一生を捧げた人物や、「乱世編」の源義経のように生のエネルギーを戦いに注ぎ込んだ人物も登場します。

漫画の神様による、時空を越えた人間賛歌・生命賛歌を味わってください。

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『吾輩の部屋である』

吾輩の部屋である

完結『吾輩の部屋である』 全6巻 田岡りき / 小学館

主人公が部屋から一歩も外に出ない日常系哲学漫画。

1K家賃4万8千円のアパートに住んでいる工学部の大学院生・鍵山哲郎が、身の回りのあれこれを、哲学的に考察する日常コメディ。画面に描かれるのは東京都内にあるらしいアパートの室内のみで、顔を出す登場人物は哲郎ただ一人という異色の作品です。

第1話は、床に寝転がり愛について考察するシーンからスタート。

「愛というのは対象に存在意義を見い出すことだ。ただしそれは論理によって導かれるのではなく、そこに合理性はあってはならない。」

と、哲郎は何やら高尚そうなことをつぶやいています。でも、考えているのは同じ研究室の女子・植村さんのこと。とても可愛いからという理由で演劇鑑賞に誘い、

「ちょっと考えさせてね」

という返事で宙ぶらりんにされてしまっていたのでした。

哲郎はずっと部屋にいて、こんなふうに理屈をつぶやいているのですが、それにツッコミを入れるのが、カバの置物や電灯、ウイスキーボトルなど、部屋にあるモノ達。哲郎とモノとの間にコミュニケーションが成立しているというシュールな光景が展開します。洗濯や掃除、料理、スマホを通しての植村さんや研究室の先輩とのやり取りといった日常的な行動が、哲郎の理屈によって、なんとなく哲学的な意味を帯びて見えてくるのが、本作の面白さです。

物語が進むと、哲郎は教授の命令によって、半年間、群馬県にフィールドワークに行くことに。2DKの一軒家に転居して部屋が広くなりますが、やっていることは前のアパートの時と変わりません。距離は離れますが、植村さんとの恋は意外と進展。理系メガネ男子の地味系ラブストーリーとしても、楽しむことができます。そして最終回には、ちょっとした驚きが。

2017年には、Sexy Zone菊池風麿さんの主演でTVドラマ化。顔出しの登場人物は哲郎一人だけという、原作に忠実なドラマでした。

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『プラネテス』

『プラネテス』

完結『プラネテス』 全4巻  幸村誠 / 講談社

宇宙に出た人間はどう変わるのか? 深い考察が味わえる1作

2070年代の近未来、宇宙に浮かぶゴミ(スペースデブリ)の回収を仕事とする青年・ハチマキ(星野八郎太)を主人公にしたSF漫画。宇宙開発に進出した人類の姿をリアルに描いていく中で、ハチマキを中心に、月や宇宙空間を生活の場にした人間達の哲学的考察がたっぷりと出てきます。『ヴィンランド・サガ』の幸村誠先生の初連載作品です。

船外作業員として働きながら、自家用宇宙船を手に入れるという大きな夢を持っているハチマキ。物語がスタートした頃の彼にとって、宇宙は可能性に満ちたフロンティアであり、自己実現の場でした。しかし、とある事故で音信不通のまま宇宙空間に漂い、“空間喪失症”というメンタルの病気になってしまいます。その辺りから、ハチマキの内面的な葛藤が始まっていきます。

2巻になると、職場にタナベという女性の後輩が登場。ハチマキの心に大きな影響を与えていきます。

「独りで生きて独りで死ぬんだ それが完成された宇宙船員(ふなのり)だ!」

というハチマキの哲学を、

「バカみたいよ」

と一蹴したタナベ。

「愛のない選択は 決して良い結果にはなりません」

と彼女は主張するのでした。

自分にとって宇宙とは何か? 人類初の木星往還船〈フォン・ブラウン〉の乗組員選抜試験に挑みながら、ハチマキは思索を巡らせていきます。すると、彼の心の中にもう一人の自分や、白い猫が現れ、哲学的対話の相手になるのでした。

人間にとっての宇宙というテーマと並び、本作のもう一つの軸になっているのが家族愛です。孤独に死ぬ覚悟を持っていたハチマキでさえ、地球には温かい実家、帰る場所があります。人間が宇宙と向き合うのに、最も必要なものはなにか? 最終話のハチマキの感動的なセリフにそれが端的に示されています。

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『空が灰色だから』

『空が灰色だから』

完結『空が灰色だから』 全5巻  阿部共実 / 秋田書店

思春期の複雑な心理を、独自のタッチでえぐり出す

『ちーちゃんはちょっと足りない』で、「このマンガがすごい! 2015」オンナ編第1位を獲得した阿部共実先生の、週刊誌初連載作品。「“心がざわつく”思春期オムニバス」というキャッチコピー通り、1話完結のオムニバス形式で全59話が描かれ、10代を中心に若いキャラクター達が登場します。

彼らのやり取りは、時にとても哲学的。第16話「金魚」(2巻)は、

「なんでみんなあんなにすぐに顔を変えることができるのだろう」

と他人を不思議に思っている女子高生・川本さんが主人公。友達と会っている時、一人でいる時、家族を前にした時、クラスで飼っていたウサギが死んだ時、みんなは状況によってコロコロと表情を変えます。これはいわゆる「ペルソナ(仮面)」のこと。仮面を被ることによって、人は世の中に順応しつつ自分を守っているのですが、川本さんはそれができないのです。

第25話「黴春」(3巻)は、男2人女1人の仲のいいグループが恋について語り合う話。

「なんで人間は疑いもせず異性だけしか好きにならないんだ! 21世紀になっても性の前では動物でしかいられないのか!」

と主張する男子に、

「恋の前では動物でしかないのよ デオキシリボ核酸の記憶には抗えないのよ」

と反論。シンプルな恋バナがどんどん思索的になり、こんがらがっていきます。

心温まる話もあれば絶望的な話もあり、時にはホラーの領域に突入することも。クセの強いエピソードが並びますが、テーマはどれも普遍的。思春期という難しい年代について、多くの示唆がある作品です。

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『ニーチェ先生〜コンビニに、さとり世代の新人が舞い降りた〜』

『ニーチェ先生〜コンビニに、さとり世代の新人が舞い降りた〜』

『ニーチェ先生~コンビニに、さとり世代の新人が舞い降りた~』 1〜9巻  ハシモト・松駒 / KADOKAWA / メディアファクトリー

コンビニの新人バイトは名言の宝庫!?

原作者の松駒先生が、バイト先の新人についてTwitterでつぶやいたら派手にバズり、なんと漫画化にまで至ったのが本作です。2016年には、間宮祥太朗さんの主演で配信ドラマ化もされました。

「お客様は神様だろうが!」

と怒る客に対し、

「神は死んだ」

と平然と切り返した新人バイト・仁井智彗(ニイトモハル)。それを見た先輩の松駒は、

「ゆとり世代ならぬさとり世代の大型新人がやってきました」

と呆然とします。「神は死んだ」は、ドイツの哲学者ニーチェの有名な言葉であり、彼はニーチェ先生として、これからも数々の名言をバイト中に繰り出していくことになるのです。

基本的には、コンビニ内の店員と客や店員同士のあるあるネタを、ニーチェ先生のリアクションを通してギャグに昇華していく作品。金髪の派手な女性に、煙草の銘柄を探すのが遅いと怒鳴られた時は、

「Z軸のある女性には期待していないので」

とひと言。松駒は、

「三次元の新しい表現を学べた」

と心の中でつぶやきます。また、

「何か分からないことがあったら遠慮なく聞いてね」

という松駒には、

「松駒さんは何故生きているのですか?」

と、哲学的すぎる質問を返球。職場のコンビニを哲学的な場に変えてしまう。それがニーチェ先生です。

イケメンでクールなニーチェ先生は、女性読者にも大人気。コンビニの実態もリアルに描かれ、お仕事漫画としても読み応えがあります。

『ニーチェ先生〜コンビニに、さとり世代の新人が舞い降りた〜』を試し読みする

『伝染(うつ)るんです。』

『伝染(うつ)るんです。』

完結『伝染(うつ)るんです。』 全5巻  吉田戦車 / 小学館

不条理ギャグの中に哲学の香りが!? 

最後に紹介するのは、不条理ギャグのパイオニア・吉田戦車先生の名作です。雑誌連載されたのは1989年から1994年にかけてで、『伝染(うつ)るんです。』というタイトルは、当時ヒット商品だったカメラ付きフィルム「写ルンです」のパロディ。それまでにない奇妙な笑いに包まれた4コマ漫画として、本作も大ヒットしました。

今読んでも、十分過ぎるほど笑える本作。作品の顔とも言える無表情なかわうそと弱気なかっぱをはじめ、独り言をブツブツ呟いては周囲の人を恐れさせるこけし姿の少年、かぶと虫の斎藤さん、すばらしい教師ですが謎の生物でもある山崎先生など、名物キャラクターが多く生まれました。

4コマの中には深い哲学性を感じさせるものも。たとえば、2羽のちょっと変わった雀が、歩いている青年を見て、

「もう、ほとんどのことがわからないだろうね。」

「森羅万象あらゆるすべてのことが、わからないことだらけだろうね。」

「これほどわからないことだらけの青年もいるまい」

とおしゃべりする回があります。これなどは、まさしくソクラテスの「無知の知」。青年は激怒しますが、深い余韻を残します。

キャラクター達のシュールなやり取りを哲学的に深読みしてみるのも、本作の楽しみ方の一つかもしれません。

『伝染(うつ)るんです。』を試し読みする

最後に

人生とは? 愛とは? 宇宙とは? シリアスからギャグまで、漫画は様々な形で、そんな普遍的な問いに答えてくれます。今回紹介した8作品以外にも、哲学系と呼べる漫画は数多く存在します。気軽にページをめくりながら、ぜひ真理の探究の旅に出てみてください。

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