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聖杯“大戦”はこれから本番『Fate/Apocrypha』感想解説|鷹野凌の漫画レビュー

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こんにちは、フリーライターの鷹野凌です。

今回は、KADOKAWA「月刊コンプエース」で連載中の漫画『Fate/Apocrypha(フェイト/アポクリファ)』をレビューします。原作小説はTYPE-MOON BOOKSの小説で全5巻、著者は東出祐一郎さん、イラストは近衛乙嗣さんです。コミカライズ担当は石田あきらさんで、本稿執筆時点で3巻まで刊行中。テレビアニメも放映中です。

■ TVアニメ『Fate/Apocrypha』公式サイト

Fate/Apocrypha(1)

『Fate/Apocrypha』 1~3巻 石田あきら・東出祐一郎・TYPE-MOON・近衛乙嗣 / KADOKAWA / 角川書店

システムが変わった聖杯戦争

本作はTYPE-MOON「Fateシリーズ」の1つです。アポクリファという題名どおり、外典として位置づけられています。外典に対する正典はもちろん『Fate/stay night』で、同人ゲームのサークルだったTYPE-MOONが初めて商業流通で発売したビジュアルノベルゲームです。カドカワコミックス・エースからコミカライズ版が全20巻発売されています。

どんな望みでも叶えると言われている聖杯を手に入れるため、7人の魔術師たちが7騎の英霊を召喚してバトルロイヤルを行うのが「聖杯戦争」というシステム。『Fate/stay night』でも、その前日譚である『Fate/Zero』でも、多少のイレギュラーはあれど、この基本システムは同じでした。

ところが『Fate/Apocrypha』では、このシステムが大きく変更されています。7人の魔術師が7騎の英霊を召還するところまでは同じ。なんとこの7騎を、すべて「ユグドミレニア(=黒)」という陣営が召喚したのです。この動きに、魔術協会(=赤)が対抗し、さらに7人の魔術師が7騎の英霊を召還。これにより、黒と赤の2陣営による、7騎対7騎の聖杯“大戦”が始まったのです。

7騎対7騎+1騎の聖杯“大戦”

単純計算でも、主要な登場人物は正典の倍。第1話ではユグドミレニア陣営の召還が、第2話で魔術協会陣営の召還がなされ、全員の姿とクラス名が明かされます。話中で比較的早期に真名が明かされた英霊には、ルーマニアの英雄で串刺し公(カズィクル・ベイ、ドラキュラ伯爵のモデル)ことワラキア公ヴラド3世や、ブリテン反逆の騎士モードレッド、ドイツの叙情詩に伝えられる英雄ジークフリートなどがいます。正直私は、初見では覚えきれませんでした。

そして第3話でもう1騎、正典には存在しなかった調停者(ルーラー)という役割で、フランス百年戦争の英雄ジャンル・ダルクが登場。システムの変わった聖杯大戦を護り司ることになります。これで都合15騎。さらに、2巻の最後で新たに謎のホムンクルスが登場。3巻時点でも離脱した英霊はいないので、この群像劇はまだまだ序盤。他のシリーズ同様、英霊・魔術師たちのバックグラウンドは、これから徐々に明かされていくことになるでしょう。

実はこの『Fate/Apocrypha』は、公式サイトに『Fate/stay night』『Fate/Zero』とは異なる新しいFateの世界であることが記されています。第二次世界大戦直前に、冬木の地で行われた3度目の聖杯戦争。そのときシステムの核となる大聖杯が奪われたため、以降60年間、冬木の地で聖杯戦争は1度も行われていないといいます。

つまり、『Fate/Apocrypha』は、『Fate/stay night』『Fate/Zero』の、並行世界ということになるのでしょう。「聖杯戦争」というシステムを応用したまったく別の物語であり、基本的には『Fate/stay night』や『Fate/Zero』を読んでいなくても楽しめるようになっているはずです。

シロウ・コトミネの正体は?

ただ、赤陣営で1人、聖堂教会から派遣された神父が「シロウ・コトミネ」という名前なのが、非常に思わせぶりで気になります。3巻時点で正体は不明ですが、『Fate/stay night』『Fate/Zero』を読んでいたら、どうしても『Fate/stay night』の主人公である衛宮士郎(えみや・しろう)と、監督役の神父である言峰綺礼(ことみね・きれい)を想起させられます。これはミスリードなのでしょうか? 先が気になるところです。

なお、TYPE-MOON BOOKS『Fate/Apocrypha』公式ページには、原作小説のキャラクター設定資料である『Apocrypha material』PDF版が無料公開されています。ただし、本編の内容を踏まえた記述があるので、閲覧には注意が必要です。小説版を既読の方か、ネタバレ上等の方にだけおすすめします。

また、『Fate/Apocrypha』に登場する英霊の多くは、スマートフォン専用ロールプレイングゲーム『Fate/Grand Order』通称FGOにも登場しています。FGOから「Fateシリーズ」を知った方も、最近では多いかもしれませんね。

https://booklive.jp/product/index/title_id/392996/vol_no/001

『Fate/Apocrypha』を試し読みする

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