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安心と信頼の兄妹ラブコメ『エロマンガ先生』感想解説|鷹野凌の漫画レビュー

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こんにちは、フリーライターの鷹野凌です。

今回は、KADOKAWA/アスキー・メディアワークスの「月刊コミック電撃大王」で連載中の漫画『エロマンガ先生』をレビューします。原作小説は本稿執筆時点で9巻(電子版は8巻)まで刊行中。ヒット作『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』と同じ、著者・伏見つかささん、イラスト・かんざきひろさんのコンビです。そして本作もまた、兄と妹のラブコメだったりします。コミカライズ担当はrinさんで、5巻まで刊行中。テレビアニメも放映中です。

■ TVアニメ『エロマンガ先生』公式サイト

エロマンガ先生
『エロマンガ先生』 1~5巻 rin・伏見つかさ・かんざきひろ / KADOKAWA / アスキー・メディアワークス

ほぼ本名なペンネームがバレないわけがない

本作の主人公は、高校生1年生でライトノベル作家の和泉正宗(いずみ・まさむね)。中学入学とほぼ同時に新人賞を受賞してデビューしていますが、売れっ子作家というわけではありません。学校に通いながら、兼業作家として活動中。ペンネームは「和泉マサムネ」と、ほぼ本名のまま。「そりゃバレるだろ」と、ツッコミを入れてやりたいところです。

ヒロインは、妹の紗霧(さぎり)。中学1年生ですが登校はしておらず、部屋からも出てこないという重度の引きこもりです。正宗にとって紗霧はたった1人の家族なのですが、「我が家に妹がやってきた日のことを」などの述懐から、実の兄妹ではないことがわかります。2人は1年前からまったく顔を合わせておらず、会話もありません。

それどころか、この兄妹はなぜか2人暮らし。家事全般は、正宗が担当しています。紗霧が足で床をドンドン踏みならすと、正宗が食事を部屋の前まで運んでやる、という毎日。なんという甘やかしっぷり……と思わなくもないですが、妹の引きこもりにもいろいろ事情があるようです。

なにを考えてそんなペンネームにしたのか

さて、作家・和泉マサムネのデビュー作から全作品のイラストを描いているのが、年齢・性別などプロフィール一切不明の「エロマンガ先生」です。マサムネはおろか、担当編集者も会ったことがない、という謎の人物だったりします。

ふとしたきっかけからマサムネは、エロマンガ先生が動画サイトで作画風景の生放送をやっていることを知ります。視聴者が入力した「エロマンガ先生~!」などの文章が画面上を流れる「ニコ生」っぽいライブ映像。視聴者はエロい絵を期待しています。自分でつけたペンネームのくせに「そ そんな名前の人はしらない!」と言うエロマンガ先生。

なお、エロマンガ先生のブログのヘッダーには「島の名前が由来です。えっちな漫画とは関係ありません」と書いてあるので、どうやら南太平洋のバヌアツ共和国にある「エロマンガ島」から取ったようです。なにを考えてそんなペンネームにしたのか。

ひとつ屋根の下、実はコンビだったことを互いに知らず

ライブ映像で、ファンと直接交流しているエロマンガ先生の姿に、うらやましくなるマサムネ。ところが、画面の後ろに自分が作った夕食が映っていることに気づきます。ななななんと、エロマンガ先生の正体は、妹の紗霧だったのです(な、なんだってー!)。

ひとつ屋根の下で暮らしている兄妹なのに、ライトノベル作家とイラストレーターでコンビを組んでいることを、互いに知らずにいたという奇跡。思わず「ちょっと待てなんだその都合のいい設定は!」と叫びたくなります。いや、もう、予想通りの展開なんですが、面白すぎる。

生放送を終了したつもりが、カメラを切り忘れているエロマンガ先生。慌てて妹の部屋の前で「カメラアアアア! 切り忘れてる!」と叫ぶ、妹思いの正宗。「配信終了」の表示を見て正宗がホッとした次の瞬間、妹の部屋の扉が開くのです。1年間、開かずの間だったのに……と、ここまでが第1話。濃厚です。

ちょっとおにいちゃん、ハーレム過ぎ

さて、本作には妹以外にも、たくさんの可愛い女の子たちが、次から次へと登場します。正宗と幼なじみの美少女書店員。「昨日もその前も二時間しか寝てないんですよぉー」と笑顔で語る美人の担当編集者。紗霧と同級生で「おち○ち○大好き」と口走る美少女。マサムネより断然売れている勝ち気なライトノベル作家の金髪美少女……などなど。みんなやたらとキャラが濃いのです。

逆に、正宗以外にまともに名前やセリフのある男性キャラは、なかなか登場しません。ずっと「正宗 対 美少女たち」という構図でストーリーが展開していきます。そしてお約束のように、みんな正宗との距離が近い。まるでライトノベルの主人公のように、美少女たちに好かれまくります。いや、原作はまさにその、ライトノベルなのですが。いくらなんでもハーレム過ぎるだろ!

とまあ、「予想通りの展開」「お約束のように」などと書いてしまいましたが、言い替えればそれは「定番」であり「王道」ということ。「やっぱりそうきたか」という鉄板のストーリー展開は、いい意味で裏切られません。そしてもちろん、萌えて、悶えて、ニヤニヤできます。安心と信頼の、兄妹ラブコメです。

エロマンガ先生

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