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食糧は現地調達!って本気?『ダンジョン飯』感想解説|鷹野凌の漫画レビュー

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こんにちは、フリーライターの鷹野凌です。

今回は、一風変わったグルメ漫画の『ダンジョン飯』をレビューします。作者は九井諒子さん。KADOKAWA / エンターブレインの漫画誌『ハルタ』に連載されており、本稿執筆時点で2巻まで刊行されています。

ダンジョン飯 1巻

『ダンジョン飯』 1~2巻 九井諒子 / KADOKAWA / エンターブレイン

世界設定は定番ファンタジー

タイトルに「ダンジョン」とあるように、本作品はファンタジー世界を描いています。人間の戦士、エルフの魔法使い、ハーフフットの鍵師、ドワーフの斧戦士、スライム、ゴブリン、オーク、マンドレイク、バジリスク、ミミック、ドラゴンなどなど、ファンタジー世界では定番の種族や職業・モンスターが続々登場します。筆者のイメージに一番近いのは、ロールプレイングゲームの古典的名作『ウィザードリィ』です。

問題は、タイトルの最後に付く「飯」です。ロールプレイングゲームには、しばしば「食糧」の概念が存在します(ただし筆者の知る限り、前述の『ウィザードリィ』にはありませんでしたが)。食糧は移動するだけで減っていき、なくなると徐々に体力が奪われ、やがて冒険が続けられなくなります。本作品世界も、同じような設定になっています。

主人公たちはダンジョンの下層部でドラゴンと戦い、全滅寸前で地上へ戻る魔法によって生還します。ただ、魔法を使った本人や荷物は、迷宮に置いてきてしまいました。残されたのは装備品のみ。一刻も早く助けに行きたいが、食糧を買うお金がない……という状況から物語がスタートします。

「食糧は迷宮内で自給自足する」

この窮地の打開策に、リーダーは食糧の現地調達を提案します。要するに、倒したモンスターを食ってしまえ、というわけです。仲間たちは「は!?」と青ざめ、猛烈に反対します。ところがお金も時間もないので、他に妙案はありません。

倒した歩き茸や大サソリを試しに煮始めたところへ、見知らぬドワーフの斧戦士が登場。調理方法を指南し始めます。大サソリは、ハサミや足・尾などは落とし、内臓を取り除き、身に切れ込みを入れると熱が通りやすくなる、とか、歩き茸は足がうまい、とか。

スライムはじっくり天日干しすれば高級食材になる、という解説とともに「干しスライムの名産地 春の風景」というコマが挟み込まれ、思わず吹き出してしまいました。スルメですか。なんでもこのドワーフ、迷宮で10年以上魔物食の研究をしているのだとか。

完成した「大サソリと歩き茸の水炊き」は、どう見てもカニ鍋。一口食べたリーダーは「うまい!」と絶賛します。嫌がっていたエルフも空腹に耐えられなくなり、おそるおそる一口食べて「うわっ おいしい!」と複雑な顔。いわゆるゲテモノ料理のたぐいですから、気持ちはわかります。

仲間を救い出すためドラゴンを倒しに行くと聞き、ドワーフは「炎竜を調理するのは長年の夢だったのだ!」と同行を志願します。新メンバーを加えたギルド一行は、モンスターを倒しては調理し、ダンジョンの下層へと進んでいくのです。

動く鎧やコインまで!?

冒頭で「グルメ漫画」と書いたように、ほぼ毎話モンスター料理が登場します。この料理の絵が、なんともおいしそう。そして実際に食べてみると「おいしい!」なのです。エネルギー・ミネラル・ビタミンなどの栄養素レーダーチャートまで表示され、まさにグルメ漫画状態です。

ただし、料理の名前は「人喰い植物のタルト」「マンドレイクとバジリスクのオムレツ」など。少なくとも食欲をそそられる名前ではありません。動く鎧やコイン虫など、一見食べられそうもないモンスターも登場しますが、なんだかんだで食材になってしまいます。さすがに霊やゾンビや絵などは食べられないようですが。

しかしまあ、例えばナマコやタコ、ヘビやカエル、イナゴや蜂の子など、現実世界で実際に食材とされている動物も、生きて動いているところを見たら食べづらいけど、実際に食べてみたら「おいしい!」となる場合も多いのです。タコが「デビルフィッシュ」と呼ばれ、避けられている地域もあるそうですし。だから「魔物食」だって、忌諱するのはきっとただの先入観なのです。

いや、実際に魔物を食べてみたいとは、あまり思いませんが。

ダンジョン飯 1巻

『ダンジョン飯』を試し読みする

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