ぶくまる – 書店員おすすめの漫画・本を紹介!

書店員が選んだ「本当に面白い漫画・本」をご紹介!

書店員が選んだファンタジー漫画の決定版おすすめ10選!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

fantasy-comic

ファンタジーというと、みなさんはどんなイメージを思い浮かべるでしょうか。ゲームや映画のような剣と魔法の世界? それとも、動物と話せたり、小人や妖精がいたりするリリカルな世界でしょうか。「ファンタジー」とは「空想、幻想」のこと。その言葉どおり、人間の想像の翼を限りなく広げた作品世界こそが「ファンタジー」の魅力。今回は、そんなファンタジーならではの、緻密な世界観を堪能できる10作品を集めました。

魅力的なキャラと緻密なストーリーに引き込まれる『Landreaall』

『Landreaall』 1~28巻 おがきちか / 一迅社

DX・ルッカフォートと妹のイオン・ルッカフォートは、火竜の封じられた土地・エカリープ(アトルニア王国)の領主の子ども。腕達者の両親に武芸を仕込まれながら、明るく楽しく暮らしています。火竜を封じるため、自らを大樹に宿らせた女性・マリオンを救うため、DXはイオンと護衛のニンジャ・六甲を連れて旅に出ます。そして多くの出会いや戦いを経験しながら、王国でかつて起きた革命の真相を知り、自身が持つ王位継承権の意味を考えるようになるのでした。

『Landreaall』の面白さは、なんといってもその緻密な人物造形と、丹念に練られたストーリーにあります。どこか飄々として掴みどころのない主人公・DXや、やんちゃな妹・イオン、そして彼らを取り巻く友人たち……ライトな絵柄の作品ですが、些細な脇役たちに至るまで生き様が描かれており、それが物語の厚みとなっています。

竜や魔法が出てくるファンタジーではありますが、王位継承などの政治的な問題や、陰謀論、経済論などにも触れており、荒唐無稽なだけのファンタジーではなく、現実に即したリアルなお話だというところも魅力です。

本作は途中から学園ファンタジーとしての色が強くなるのですが、そこで展開するストーリーがまた面白い! 貴族に平民、商人の息子と、立場や出自はさまざまでありながら、時にはぶつかり、時には助けあいながら友情を築き、成長していく姿は、青春ものとしてもグッとくるはずです。

『Landreaall』を試し読みする

その発想は無かった!RPGを新たな視点で料理した、ダンジョン攻略グルメ漫画『ダンジョン飯』

x-9

『ダンジョン飯』 1~3巻 九井諒子 / KADOKAWA / エンターブレイン

主人公の戦士・ライオスは、エルフのマルシルら仲間を連れてダンジョン(地下迷宮)の探検にのぞみますが、同行者だった妹をレッドドラゴンに食われてしまいます。妹の体を取り戻すため、再びダンジョンへもぐるライオスたち。ですが、資金不足から食料を買えません。仕方なくダンジョンに棲む魔物を狩って食べることに……!?

ロールプレイングゲーム(RPG)でおなじみの、魔物と戦いながらダンジョンの底へ底へと下りていくストーリーを、グルメ漫画(!?)に転換した斬新な作品です。魔物の味や調理法の描写が非常に具体的で、たとえば、「スライムは二週間ほど絶食させ、天日に干して乾燥させてから鍋に入れたり果汁に浸したりして食べると美味しい」なんて、まるで実在する料理のレシピのよう! 他にも「動く鎧」の驚くべき調理法など、インパクト満点な料理もふんだんに登場し、ファンタジーなのかリアルなのか分からない展開にぐいぐい引き込まれていきます。

また、個性豊かな登場人物たちにも注目! 真面目で勇敢そうな戦士ライオスが、実はちょっとおかしな性癖を抱いていたり、クールでツンデレっぽいマルシルが人一倍食いしん坊だったりと、話が進むほどに現れるギャップも面白いのです。

九井諒子先生は、魔王を倒したあとの勇者の悲哀を描く「帰郷」等を収録した『竜の学校は山の上』など、ピリリとスパイスの効いたファンタジー短編集もおすすめです。

『ダンジョン飯』を試し読みする

ダーク・ファンタジー界の揺るぎなき王者『ベルセルク』

x-1-1

『ベルセルク』 1~38巻 三浦建太郎 / 白泉社

第6回手塚治虫文化賞マンガ優秀賞を受賞し、海外でも熱く支持されている、ファンタジー漫画の傑作です。今までにも映画化&アニメ化されていますが、2016年に再びアニメ化され、新たな注目を集めています。

舞台は魔物が闊歩する中世ヨーロッパ風の世界。傭兵に育てられたガッツは、巨大な剣や義手などを武器に自暴自棄な戦いを繰り返しながら、流浪の日々を送ります。ガッツに命を救われた妖精パックは、共に旅することを決意しますが、次第にガッツの背負う重い運命が明らかになり……。

重厚な世界観、映画を思わせるような壮大なストーリーと、『ベルセルク』の見どころはたくさんありますが、なにより魅力的なのは登場人物の心理描写です。妬みや羨望、憎悪などの負の感情、希望や情熱、敬愛、崇拝などの正の感情……そのどちらもが生々しく、胸に迫るようなリアリズムに満ちています。無二の友・グリフィスに恋人を穢されたガッツの血を吐くような叫びや、ガッツが自分のもとを離れると知ったグリフィスの怒りと絶望など、読んでいるこちらの感情まで掻き立てられるような、真に迫った描写に唸らされます。

闇と暴力に満ちた世界でありながらも、否、だからこそ一筋の希望が胸に迫る……三浦建太郎先生の描く物語の果てを、この目で確認するまでは死ねない! そんな気持ちにさせられる傑作ファンタジーです。

『ベルセルク』を試し読みする

巨大な縦穴の中で繰り広げられる、少年ロボットと少女の決死の冒険!『メイドインアビス』

x

『メイドインアビス』 1~4巻 つくしあきひと / 竹書房

底なしの超巨大洞窟「アビス」は、古代の秘宝や危険な怪物、潜入者を襲う死の呪いが満ちた秘境。アビスで消息を絶った偉大な冒険家を母に持つ少女・リコは、いつかアビスの奥を探検したいと思っていました。ある日、リコは超科学的技術で製造された少年ロボット・レグと出会います。レグがアビスの底から来たのではないかと思ったリコは、行方不明の母の痕跡を追って、レグと共にアビス探検へ出発するのでした。

巨大な縦穴にある生態系の描写が細かく、リコたちが見つける古代遺物もロマンを掻き立てます。下降する分には問題ないのですが、地上へ向かうとたちまち呪いが降りかかり、深度が深ければ深いほど重傷を負うというシビアな設定と、ふんわりした絵柄とのギャップも本作の特徴。「死の呪い」を解くために生体実験を繰り返すキャラが登場したりと、かわいさに加えてシリアス&ダークな雰囲気がストーリー全体に漂います。

主人公が秘境への憧れに突き動かされる冒険ファンタジーの魅力がたくさんつまった本作。奈落の底に挑むことは、死に挑むも等しい。それでも、けっして潜ることをやめない冒険者たちの熱い魂に、グッとくること間違いなし!です。

『メイドインアビス』を試し読みする

少年は空を翔ける―王道の冒険ファンタジー!『リンドバーグ』

x-2

完結『リンドバーグ』 全8巻 アントンシク / 小学館

舞台は高地の王国・エルドゥラ。国王により空を飛ぶことが厳しく禁じられているこの国で、少年・ニットは大空を飛行することを夢見ていました。ある日、空飛ぶ動物に人工の翼をつけた謎の飛行物体に乗る男が、外界からエルドゥラへやって来ます。その男・シャークはニットに、ニットのペット・プラモこそが空を飛べる動物「リンドバーグ」であることを告げ、エルドゥラからの旅立ちを勧めるのでした。

少年が新世界へ飛び出し、仲間を得て成長していく、王道の少年漫画です。少年らしい勇気に満ちた主人公・ニット、ワイルドで格好いい大人の男・シャーク、そしてキュートな幼なじみのモーリンなど、どの登場人物も活き活きと描かれています。

本作の最大の魅力は、全体を通して感じるノスタルジー。ジュブナイル小説や、ジブリ映画にも通じるような、冒険への憧れがめいっぱい詰まっています。狭く退屈な世界から、未知の大空へ──ニットが飛び立ったその時、きっと胸がすくようなワクワク感が湧き上がるはず。

物語はニットの成長とともにスケールが増し、ニットはプラモとともに隠された世界の秘密に迫ります。大航海時代を思わせるフロンティア精神、空と冒険をテーマにした懐かしさと躍動感が伝わる良作です。

『リンドバーグ』を試し読みする

種族の枠を超えた親子愛が切ない『ソマリと森の神様』

x-3

『ソマリと森の神様』 1~2巻 暮石ヤコ / ノース・スターズ・ピクチャーズ

ヒト狩りによって人間が激減し、人外の生き物が大多数を占める世界。身寄りのない人間の子ども・ソマリは、森の番人・ゴーレムに育てられています。千年生きるといわれるゴーレムは、既に寿命の大半を生きており、機能停止も間近。ゴーレムは自分の死後のソマリを案じ、二人でソマリの両親を探す旅に出ますが……。

ゴーレムとソマリの旅路を叙情的に描く、ロードムービー的な作品です。中世を思わせる森や街、バラエティ豊かな異形の生物たちが精緻に描かれていて、異世界の雰囲気に浸れます。食いしん坊のソマリが旅先で口にする食べ物も美味しそう!

人間の感情というものが理解できないゴーレムが、ソマリの示す反応に戸惑いつつも「父」になろうとしている様子がほほ笑ましく、人外と人間との絆が丁寧に描かれています。余命の短いゴーレムと、人間が「狩られる」立場である世界に生きる幼いソマリの、愛情に満ちた暮らしぶりは儚くも切なく、単なるほのぼのストーリーとは一線を画す、深い味わいの作品です。

『ソマリと森の神様』を試し読みする

こんな生活が送ってみたい!癒やしのスローライフ『ハクメイとミコチ』

x-5

『ハクメイとミコチ』 1~4巻 樫木祐人 / KADOKAWA / エンターブレイン

ハクメイとミコチは身長9cmの小さな女の子。森の奥で暮らすふたりの生活は、毎日がゆったりと心地よく、新鮮な驚きに満ちています。おっとり系のミコチは持ち前のセンスを生かして仕立て屋を、職人肌でおおらかな性格のハクメイはフリーの修理屋を営んでいます。ふたりを取り巻く人々や、言葉を話せる獣たちとの心温まるエピソードがたっぷりの、スローライフファンタジーです。

ファンタジーの魅力に、よく「独特の世界観」が挙げられますが、『ハクメイとミコチ』も、描かれる世界が本当に素敵なんです。木の洞に作られたふたりの家は見るからにあたたかそうで住んでみたくなり、小さな店がひしめき合う市場はどこかアジアの下町を思わせて、これも魅力的! また、食べ物が本当に美味しそうなところもポイント。料理上手のミコチが作る、七面鳥とクランベリーのサンドイッチや、はちみつのワッフル、つみれとゴボウの味噌汁など、見てるだけでお腹が空いてきます!

ほのぼのストーリーかと思いきや、仕事に対するふたりの姿勢に感心することも多く、自分も頑張ろうという気持ちが湧いてきます。なんだか疲れたなあと感じている人にぜひ読んで欲しい、癒やしのファンタジー漫画です。

『ハクメイとミコチ』を試し読みする

異形の魔法使いと少女との心の交流を描く『魔法使いの嫁』

x-6-1

『魔法使いの嫁』 1~6巻 ヤマザキコレ / マッグガーデン

舞台は現代のイギリス。心に傷を抱えた15歳の少女、羽鳥智世(チセ)は、異形の魔法使い、エリアス・エインズワースに500万ポンドという大金で身請けされます。実は、チセは莫大な量の魔力を有する「夜の愛し仔(スレイ・ベガ)」と呼ばれる能力の持ち主だったのです。エリアスは、弟子であり「嫁」でもあるチセに、魔法使いとして生きる術を教えますが……。

人外×少女という設定にビビッと来られた方に、ぜひ読んでほしい漫画です。強大な魔力を持ちながらも、世捨て人のように暮らすエリアスと、誰からも顧みられることのなかった少女・チセ。孤独な2つの魂が惹かれ合い、心を通わせていく様子は見ているだけでキュンとしてしまいます。話が進むにつれ、2人の暗く重い過去が明らかになっていくので、ますます目が離せなくなりますよ。

ブラックドッグ(教会や墓地に棲む犬の妖精)やリャナン・シー(男の血と引き換えに才能を与える美しい魔物)、そしてエリアスの家でメイドとして働いている家事妖精など、イギリスに古くから伝わる魔物や妖精が出てくるところも見どころのひとつ。美しく幻想的な世界観を堪能できる作品です。

『魔法使いの嫁』を試し読みする

残酷さも切なさも愛おしさもすべて詰め込んだファンタジー『チキタ★GUGU』

x-4

完結『チキタ★GUGU』 全8巻 TONO / 朝日新聞出版

妖(あやし)退治を生業とするグーグー家のチキタは、ある日人喰い妖ラー・ラム・デラルという妖と出会います。実はその妖は、チキタの両親を殺した相手でした。「不味い人間」のチキタを百年飼育し、美味に変えてから喰らおうとするラー。そうして、妖と人間との奇妙な同居が始まりますが……。

ラーは人喰いではありますが、邪悪というより赤ん坊に近い無垢な精神を持っています。はじめて好きになった女の子(ニッケル)に「死んだら自分を食べていい」と言われるラーですが、実際に彼女を失った時、ラーはその事実を受け止めきれなくなります。

「教えてくれチキタ どうしたらいい!? 俺 も一回 ニッケルに……会いたいんだ」

というラーの吐くような叫びに、思わず涙してしまいます。

ほかにも、片方が負った傷がもう片方に移ってしまう姉妹の話や、人間によって毒を持つ妖に変えられてしまったクマのシャルボンヌの話など、切なさに震えてしまうようなエピソードがたくさん。また、ラーによって不老不死となり、人間社会の輪から外れていくチキタと、人喰いでありながらも、大切な人を失う痛みを知ってしまったラーとの、あたたかくも切ない二人ぼっち感にも胸がぎゅっとなります。

デフォルメされた可愛らしい絵柄とは裏腹に、容赦ない残酷さを突きつけてくる本作。ほのぼのストーリーだと思って読むと衝撃を受けるはず。 TONO先生は『カルバニア物語』もオススメ。こちらは『チキタ★GUGU』よりも明るめのファンタジーですが、深い人間描写に唸らされる良作です。

『チキタ★GUGU』を試し読みする

童話のような独特の世界観が魅力!『とつくにの少女』

x-7

『とつくにの少女』 1~2巻 ながべ / マッグガーデン

幼い少女・シーヴァと山羊のような角を持つ「せんせ」は、異形の棲家である「外つ国」の森で暮らしています。シーヴァはせんせが大好きなのですが、触れると呪いがかかってしまうため、触れ合うことができません。皆が忌み嫌う「外の者」とは何なのか、なぜ呪いを受けてしまうのか……静謐な中にもダークさを秘めた物語です。

外国の絵本のような独特のタッチにまず目を奪われる本作。シーヴァの無邪気な可愛さに心和むのも束の間、内の国から来た兵士たちに彼女が殺されそうになる、という事件が起こります。どうやら「せんせ」はシーヴァに関する重要な秘密を知っているらしいのですが、真実を告げるとシーヴァを傷つけることになるため、話すことができずにいます。シーヴァを守りたい、でも自分には何も出来ないという「せんせ」の葛藤が、異形でありながらも人間らしさを感じさせ、この人はいったい何者なんだろう、という疑問が湧き上がります。「せんせ」の作る焦げたアップルパイや、目玉焼きなど、ふとした日常の描写が素敵で、このままずっといられたらいいのにと願わずにはいられません。ですが、不穏の影は確実に2人の足元に忍び寄るのです。

黒が際立つ美しい画面と、静かな世界観に浸れる本作。秋の夜長におすすめのダーク・ファンタジーです。

『とつくにの少女』を試し読みする

最後に

緻密に作り上げられた世界観が魅力のファンタジー漫画ですが、そこに生きる人物はけっして超人ではなく、泥臭い苦悩や葛藤を抱いています。だからこそ、私たちはファンタジー漫画に夢中になるのかもしれません。

ファンタジー=剣と魔法と思っている方も、この機会にぜひ、色々な作品に触れてみてくださいね。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

こちらもおすすめ

どれから読む?心が震える音楽漫画10選【クラシック・ジャズ・合唱・三味線まで】
婚活の参考に!笑って前向きになれる、おすすめ婚活漫画8選
犬好き書店員が選ぶ、犬好きのためのおすすめ犬漫画9選
運命に死で抗う『Re:ゼロから始める異世界生活』感想解説|鷹野凌の漫画レビュー
手塚ワールドの再来『ヤング ブラック・ジャック』感想解説|鷹野凌の漫画レビュー
狂気と紙一重の愛はいかが?ヤンデレBL漫画10選